『レイプゾンビ LUST OF THE DEAD』

2011年 日本 監督:友松直之 脚本:友松直之、石川二郎 出演:小沢アリス、亜紗美、あいかわ優衣、小林さや、中沢健、貴山侑哉、福天、里見瑶子、若林美保、倖田李梨、内田春菊、影山英俊

 1週間ほど前に、DVDで鑑賞。(撮影に参加させていただいたこともあり、ぜひ完成記念イベントには行きたかったのですが、残念ながら行けず、イベントで上映されたというディレクターズ・カット版は未見です。)

 さて、『レイプゾンビ』というタイトルと、「世界中の男たちが次々にゾンビ化して女たちをレイプし‥‥」という設定からは、「悪趣味なバカエロホラー」の匂いがモワッと漂っていて、まあ実際、この作品にはそういう側面もあるわけですが、それだけではないんですよ。
 例えば、台詞でも主題歌でも「女は犯せ~!」的な言葉がやたら出てくる一方で、レイプされた過去を持つ女性キャラの悲哀が、ビシッと描かれていたりして。特に、夫(稲葉凌一)から暴力をふるわれ犯され続けてきたカナエ(亜紗美)が、大勢のレイプゾンビを相手に戦うアクション・シーンは、彼女の情念がみなぎっていて素晴らしい。

 というようなことは、すでに色んな方が書いてらっしゃるので、ここからは、作品の細部に関する個人的な解釈やら何やらを記しておきます。

 さきほど設定として、「世界中の男たちが次々にゾンビ化して女たちをレイプし‥‥」と書きましたが、実は厳密に言うと、「世界中の男たち」ではなく、「童貞オタクを除く世界中の男たち」。つまり、童貞オタクはレイプゾンビにならない、という設定なのです。
 
 しかも劇中で、カナエが「(一般的に)レイプ犯はオタクよりスポーツマンだって聞いたことある」と言ったり、ノゾミ(小沢アリス)が高校時代にラグビー部員から輪姦されていたり、この作品では徹底して「スポーツマンはレイプする、オタクはしない」ということになっています。
 これは、現実社会でマスコミなどがスポーツマンを過剰に「爽やかな存在」として扱うことに対する皮肉、なのかもしれません。

 そして、絵にかいたような童貞オタクのノボル(中沢健)が、タマエ(あいかわ優衣)に誘惑されているうちにレイプゾンビ化し、オタクっぽい環境評論家(福天)が、暴力行為をキッカケにレイプゾンビ化しているところを見ると、さらに厳密な設定としては、「童貞オタクでも、心の中に非オタク的な何かが芽生えたらレイプゾンビになる」ということなのでしょうか?

 もしそうだとしたら、最後までレイプゾンビ化しなかったフレッシュ後藤(貴山侑哉)は、「身も心も童貞オタク」ということになります。これは面白い。
 彼はレイプ肯定論者で、独特の持論を展開したあげく、世の男たちに向かって「犯せ! ヤリまくれ!」と煽るわけですが、その彼自身が童貞オタクって‥‥。しかも彼、長身のイケメンなんですよ。ずいぶん複雑なキャラやなあ。

 あ、そうだ、フレッシュ後藤を主人公にしたスピンオフなんて、どうですか? 彼がいかにして、そういう面白い人物になったのか。その過程を観たいです。


※追記(4月8日)‥‥この文章について友松監督のブログのコメント欄でやり取りした内容を、監督が記事としてアップしてくださいました。これを読むと、設定に関する監督の真意がよく分かりますよ→http://ameblo.jp/n-tomomatu/entry-11216492547.html

『若葉学園 チェリーボーイズ』

2009年 日本 監督:城定秀夫 脚本:小松公典、城定秀夫 出演:次原かな、榊原順、吉川けんじ、松浦祐也、大友さゆり、吉岡睦雄、森羅万象、金原亭世之介
DVD(セルとレンタルの両方)あり

 昨年の初め頃にも城定監督のOVについて書き、今年も同じく。といっても、狙ったわけではありません。たまたま、「年末に城定OVを観る→よかった!→年始に書く」というパターンが、2年続きました。

 童貞高校生で眼鏡男子の守(榊原順)は、海辺で可愛い女子(次原かな)のパンチラを目撃し、彼女にひと目ぼれ。数日後、守のクラスに転校生が。名前は八神明日香。あの海辺の女子だ! やったぜ!
 とまあ非常にベタな展開の学園青春モノ。しかしですね。基本的な部分はたしかにベタなんですが、細部に色々と工夫が凝らされていて、このジャンルの作品としてはかなり見応えがありました。

 まず冒頭の、守と明日香が出会うシーン。さきほど彼らの外見について、単に「眼鏡男子」「可愛い女子」と書きましたが、実はこの2人、ちょっと変わった格好で登場するのです。それは、着物と猫耳。
 守は大の落語好きという設定で、このシーンでは、学校の制服の上に着物を羽織って落語の練習をしています。そして明日香は大のコスプレ好き。猫耳&ミニドレスで猫ちゃんになりきっています。つまり海辺に、着物を羽織った少年と猫耳を付けた少女。絵的になかなか面白いです。
 しかも守が練習している演目は、古典落語の「猫の皿」。噺の題材とコスプレのキャラが重なっていて、その点でも面白いです。また、「猫の皿」と明日香の猫耳コスプレ姿は作品の終盤まで何度か登場するのですが、これは、一貫して描かれる明日香の猫っぽい性格(気が強く、守の思い通りにはならない)とも微妙に重なっていて、この構成も上手い。

 撮り方も上手いというか凝っていて、例えば、明日香と照美(大友さゆり)、祐也(吉川けんじ)と隆明(松浦祐也)の2組が、それぞれ海辺で語り合うシーン。
 照美は明日香たちのクラスメイトで、コスプレをするとそのコスチュームの人格になってしまうという特異体質の持ち主。そのせいで大好きなコスプレにも臆病になっていて、友達もいなかったのですが、明日香から「(その体質は)すごい才能」と褒められ、2人は仲良くなります。
 いっぽう祐也と隆明は、守の悪友。彼らは3人とも童貞なわけですが、落語好きの守とは違い、祐也と隆明は常にセックスのことばかり考えていて、この時も、俺たち早く童貞脱出しようぜ! てな調子で改めて意気投合。

 で、注目すべきは、このシーンの構図。まず画面の手前の方で、明日香と照美が砂の上に座ったまま語り合っていて、会話が終わりかけた頃、奥の方に小さく祐也と隆明の歩く姿が写ります。ここまでがワンカット。そしてカットが変わり、今度は手前で祐也と隆明が語り合い、奥の方に小さく明日香と照美の歩く姿が写ります。こちらもワンカット。
 先ほども書いたように、祐也と隆明の会話はひたすら童貞云々という内容なのですが、そのとき奥に小さく写っている女子たちは、明日香が照美のスカートに付いた砂を払ってあげたりと、非常に爽やかな雰囲気。また、2組の会話の両方ともに「自分に正直になろう」という言葉が出てくるのですが、言葉は同じでも、当然、意味というかニュアンスはやや違うわけで。
 このように、映像と台詞の両面で2組をうまく対比させながら同時に描いているので、観ているこちらとしては、「あれも友情、これも友情」とでも呟きたくなるような、ある種しみじみした気持ちになりました。その意味で、とても印象深いシーン。
 
 とにかくこの作品、全体的に工夫と丁寧さがあり、感心しました。OVの少ない予算と時間の枠内でここまでやるのは、難しいことなんじゃないでしょうか。

 ではオマケとして、『ラーメン必見伝』の時と同じく吉岡睦雄について書いておきます。今回、改めて気付いたことがあるので。
 彼、声が独特ですね。成人男性としては、非常に甲高い。もちろん今回はコミカルな先生の役なので、わざと極端に高い変な声を出しているのでしょうが、考えてみると、シリアスな役の時もけっこう声が高かったような‥‥。なんというか、喉や腹ではなく、額から出ているような素っ頓狂な声。いずれにせよ吉岡氏、面白い役者さんです。
 
 ちなみに主演の榊原順くんに関しても、ちょっと気付いたことが。彼、劇中ではずっと眼鏡をかけているものの、メイキングでは眼鏡ナシの素顔を見せていて、この素顔がですね、岡田智宏に似てるんですよ。いつか2人で兄弟の役を演ってほしい‥‥って、前にも岡田氏について似たようなことを書いたなあ

 最後に。この作品のギャグ、全体的にかなり私好みです。特に、隆明の恋にまつわるギャグでは2回、爆笑しました(このあたりは小松さんのアイデアじゃないかと推測してるんですが、どうなんでしょう?)。詳しくは書きませんので、興味のある方はぜひ作品をご覧になってください。

『恋愛家族 義母と義姉の秘密』

2005年 日本 監督:国沢☆実 脚本:小松公典 出演:南けい子、川口篤、牧村耕次、若瀬千夏、藤原麗子、前田万吉、坂本裕一郎  (DVDレンタルあり)
 
 先月下旬、中古DVDが手に入ったので鑑賞。2話オムニバス形式のエロス系OVです。それぞれのタイトルは、第1話『義母と息子・真実の愛』、第2話『義姉と弟・遅すぎた出逢い』。タイトルから分かる通り、どちらもいわゆる「禁断の愛」モノ。
 小松さんが脚本を担当された作品だし、できれば色々と詳しく書きたいのですが、前の記事で述べたように最近やや体調不良なので、あまり長くは書けません。そこで、ある1点についてだけ記しておきます。

※以下の文章では第1話の結末に触れています。

 とにかく第1話のラストシーンにおける息子の台詞が、妙に印象に残っています。まあ台詞といっても、「母さん!」という一言だけなんですが。そこに至るまでの流れを考えると‥‥。
 
 予備校生の俊夫は、父の後妻としてやってきた奈津子に最初は反発したものの、あることをきっかけに彼女と打ち解け、しだいに2人は親密に。ついには肉体関係を持ちます。そしてラストシーン。俊夫が路上を走りながら、明るい声で「母さん!」と叫ぶと、前方を歩いていた奈津子が振り返り、微笑む。
 
 これって結局、2人の間に性的な関係があっても、俊夫にとって奈津子はあくまでも「母さん」である‥‥ということなんですかね。や、むしろ関係を持ったことによって、「母さん」度が高まったように見えます。彼は行為の最中にも、彼女に向かって愛おしそうに「母さん‥」と言っているし。
 まあ俊夫には、実母に愛されずに育ったという過去があり、その辛さを語るシーンもあるので、彼が母親という存在に過剰にこだわるのは、何となく分かるような気もします。しかし。彼のこの「母」に対するこだわりっぷりについて考えているうちに、ある疑問が浮かびました。

 それはですね。もし奈津子が俊夫を、「息子」ではなく完全に「ひとりの男」として愛したくなったら、どうなるのか? ということ。
 俊夫は奈津子自身に惹かれているだけでなく、彼女が「義母(母親)である」という付加価値の部分にも大いに惹かれているわけですが、奈津子の方は、俊夫が「息子である」ということに特別な価値やこだわりを感じているわけではないでしょう。だから、彼女はそう遠くない未来に、自分たちの母子関係をやめたくなるかもしれない。つまり、「母さん」ではなく「ひとりの女」として愛されたくなるかもしれない。そのとき、俊夫はどんな反応を見せるのか。
 
 上記のような展開で、この作品の続きを観てみたいですね。直接の続編というよりも、内容的にこの作品を膨らませたような長編を。

『ラーメン必見伝 ~麺VSスープ 至極の兄弟対決篇~』

2006年 日本 監督・脚本:城定秀夫 脚本:城定由有子 出演:水元ゆうな、吉岡睦雄、中村英児、畠山寛、ホリケン。 (DVDレンタルあり)

 昨年、ケーブルTVを受信している友人から、チャンネルNECOで深夜に時々放送されるという“ネクスタシー”なるレーベルのOV作品群の話を聞き、そのレーベルにちょっと興味を持ちました。
 まず、名前自体が微妙に面白い‥‥。どの作品にもセックスシーンがあるらしいので、おそらく“ネクスト・エクスタシー”を縮めたものなのでしょうが、語感としてはネッシーやネクター(果肉飲料)に似ていて何となくヘン。さらに、こういう官能系のレーベル名を付けてエロを売りにしているわりには、グルメ対決を題材にした作品が妙に多いというのも、これまた面白いというか不思議というか。

 そんなわけで先日、ネクスタシーの中の1本、『ラーメン必見伝』の録画テープを借りて観ました。監督・脚本は城定秀夫。私は、彼が脚本を担当した『ヒロ子とヒロシ』を観て少々ガッカリしたので、それ以外の彼の作品を観ていませんでした。しかし縁あって(?)出会ったこの作品は、かなり良かったです。

 恋人(畠山寛)に去られたうえ勤務先のメイド喫茶が潰れて傷心の珠子(水元ゆうな)は、高志(吉岡睦雄)と浩二(中村英児)の兄弟が切り盛りするラーメン屋で働くうちに明るさを取り戻すが、兄弟の両方が珠子を好きになってしまい‥‥という内容。適度にセックスシーンあり。
 要するに、メイドさんとラーメンとエロという、ある種の男性層が好きそうなものをあれこれ詰め込んだ作品で、おそらくメーカー側からそういう要請があったのだと思いますが、その要請にきちんと応えつつ、切なくも爽やかな余韻の残る感じのいい作品に仕上がっています。
 
 特に私が感心したのは、俳優さんたちの魅力や実力が充分に引き出されていること。この種の作品だと準備や撮影の期間はかなり短いはずなのに、演技経験の少ない主演女優もわりと安定した芝居ができているし、吉岡睦雄と中村英児はラーメンを作るシーンでちゃんとプロの料理人に見えるし。これらはもちろん本人たちの力あってのものですが、監督の指導や撮り方(見せ方)によるところも大きいでしょう。

 それにしても、この作品の吉岡睦雄、すごくイイです。料理のシーンに限らず、全体的に演技がしっかりしていて雰囲気も味わい深い。ちょっとビックリしました。
 というのも私は今まで、彼が出演しているピンク映画を何本か観たり、上映会でご本人を間近に拝見した印象として、失礼ながら「何だかボヤ~っとした人」としか思っていなかったので。役柄的にも、いまおかしんじ監督の『たまもの』の影響か、「フラフラしていて頼りない感じの青年役が似合う」というイメージだったのですが、今回はそういう役とは全く違う、頑固で職人気質で女性に対して純情な料理人を的確に演じています。
 
 作品の序盤では、高志の頑固(というか無愛想)な面が強調されていて、しかも浩二が高志の外見について「カマキリみたいな気持ち悪い顔」(!)と発言するシーンがあるので、「そういえば吉岡氏ってカマキリに似てるかも~」などと思いながら観ていたのですが、ストーリーが進むにつれてだんだんイイ男に見えてきて。特に、高志がスープの研究に没頭している姿を珠子が「カッコいい」「ステキ」と褒めるシーンでは、本当にとてもカッコよく見えました。 
 
 こういう前半と後半でギャップがあるというか、途中から飛躍的に魅力が増すキャラクターというのは、非常に儲け役ですよね。チラッと調べたところによると、城定氏は自分の作品に吉岡氏をたびたびキャスティングしているとのことで、私としては今回、吉岡氏の新たな魅力を思い知るとともに、城定氏の彼に対する信頼と愛情を感じました。
プロフィール

サイボク

Author:サイボク
60年代後半生まれの♀。
東京在住。
twitter.com/saiboku_ya

最新記事
カテゴリー
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

ブログ内検索
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
RSSフィード
リンク