『春の夢』

ボンクラ3人組


2016年  韓国  監督・脚本:チャン・リュル  出演:ハン・イェリ、ヤン・イクチュン、ユン・ジョンビン、パク・チョンボム
※シネマート新宿&心斎橋で開催されている「ハート アンド ハーツ コリアン・フィルムウィーク」にて上映中。他の地域でも順次公開予定。
「ハート アンド…」の公式サイト→http://www.koreanfilmweek.com/


ソウルの場末で居酒屋を営む女と、その店に入り浸る3人のさえない男たち。
なんだかんだ言いつつ仲の良い彼ら4人が、ぶらぶらと過ごす日々を、モノクロの映像で描いた映画。
というだけでは、ない。

彼らにはそれぞれ事情がある。
居酒屋の女イェリは、中国の朝鮮族自治州からやってきた。仕事だけでなく父親の介護もしている。
チンピラのイクチュンには身寄りがない。施設で育った。
大家のジョンビン。そこそこ裕福だが、持病があって体が弱い。
脱北者のチョンボム。ろくに給料も貰えないまま、勤め先をクビになってしまった。

監督のチャン・リュルは中国出身で、以前から中国の朝鮮族を映画で描き続けている。
チョンボム役のパク・チョンボムは、かつて脱北青年が主人公の映画『ムサン日記』を、自ら監督・主演して作った。
おそらくはこの2人の思いが重なって、上記のような設定になったのだろう。

しかしこの作品、いわゆる社会派映画というわけでも、ない。
たしかに、差別や貧しさや人生の上手くいかなさ…といったものが、確実に底に流れてはいるのだが、多くの場面では、ひたすら4人が呑んだり遊んだりしている。
しかもその姿が、けっこうコミカルなのだ。

特にヤン・イクチュン。
本人が監督・主演の『息もできない』では、非常に暴力的なチンピラを見事に演じていたが、今回は同じチンピラでもかなりキャラが違っていて、なんというか、観ていていちいち「プッ」と笑ってしまうような役柄&芝居。
伸ばしっぱなしの長髪に派手な柄シャツ、太すぎるズボン…という絶妙にダサいファッションも、たまらん。
市場で、全ての店の人に話しかけながら少しずつツマミ食いして食事をタダで済ませる姿とか、やることなすこと、ダメダメだけど微笑ましい。

そして上のイラストに書き添えたように、3人組を演じているのは全員、映画監督なのだが、残りの1人、ユン・ジョンビンはというと。
彼自身は、『悪いやつら』や『群盗』など人気スターの主演作も撮っている、なかなかの売れっ子監督。
インタビュー時の撮影で、デカいグラサンをかけてビシッとポーズをとるような人なのだが、この映画では、おかっぱ頭に地味~な服を着て、ヌボ~っとした男になりきっている。

そういえば、この「実は監督」な3人が映画について喋るシーンがあって。
そこで話題になるのがジャッキー・チェンの『酔拳』というのも、なんか、いいんだよなあ。

そしてこの映画、ちょっと不思議な終わり方をする。
人によって解釈が分かれるだろう。
「ワケわからん!」と怒る人もいるかもしれない。
でもまあ、『春の夢』というタイトルなんだし(原題も)、辻褄が合わなくても、ちょっと奇妙でも、いいじゃないですか、夢なんだから。
と、かばいたくなる。

たぶん私はけっこう好きなのだ、この映画。
登場人物たちが、いつまでも心の隅のほうに残りそうな気がする。

『イップ・マン 継承』

      ドニー低い構え

2015年  中国・香港  監督:ウィルソン・イップ  脚本:エドモンド・ウォン  出演:ドニー・イェン、マックス・チャン、リン・ホン、パトリック・タム、ケント・チェン、チャン・クォックワン、マイク・タイソン ほか

各地で上映中、または上映予定あり  
公式サイト→http://gaga.ne.jp/ipman3/


武術「詠春拳」の達人でブルース・リーの師匠として名高いイップ・マンの生涯を描く、シリーズ3作目。

今回は、街を荒らす不動産王フランク(マイク・タイソン)と戦う羽目になったり。
「自分こそが詠春拳の正統」と主張するチョン・ティンチ(マックス・チャン)から挑戦状を叩きつけられたり。
物静かで争いを好まないイップ・マン(ドニーさん)にとって、困ったことが続出。
さらには、愛する妻(リン・ホン)が病魔に襲われてしまい……。

シンプルで分かりやすいストーリーですが、作品自体に「物足りない」という感じは無いです。
やはり、素晴らしいアクション・シーンが随所に登場するからでしょう。

今回のアクション監督はユエン・ウーピン。
アメリカでも活躍し、今や世界的なアクション監督ですが、今回、古巣の中華圏、しかも自分の弟子といえる2人(ドニーさんとマックス・チャン)がメインの映画ということで。
いかにも動きづらそうな場所で戦わせたり、素手だけでなく色んな武器を使わせたり、ハイレベルかつ凝った演出になっています。

ただし一部のシーンでは、ドニーさんが自らアクションの振り付けを担当したそうで、それはイップ・マンとフランクとの戦いのシーン。
ここでイップ・マンは、非常に印象的な構えのポーズをとります(上のイラストに描いてあるポーズ)。
実はこのポーズ、正式な詠春拳の型ではなく、「詠春の構えのまましゃがんだポーズ」だそうです。

つまり、リアリズムとしては×なのだけど、かっこよくて劇的な効果もあるから「映画の演出」としては◎、という考え方なのですね。
その結果として、あのポーズが気に入ってイラストに描いたりする観客も出てくるわけですから、まさにドニーさんの思うつぼ、ですなあ。

いっぽう俳優としてのドニーさんは、というと。
昔はドニーさんがこういう「物静かで穏やかな人」を演じていると、なんかちょっと無理してるというか、本来はギラギラした人が頑張って静かな人を演じてるように見えたものですが。
今回は、そういう無理やり感・頑張り感は一切なし!
自然にイップ・マンになりきっているように見えました。

ドニーさんも今年で54歳だし(撮影時は52歳くらい)、人としても役者としても経験を積んで、渋みが出てきたのかもしれません。

また優れたアクション俳優とは、「役の感情や意志をアクションで表現できる人」だと私は常々思ってますが、そういう意味でも、ドニーさんはますます成長しているし、マックス・チャンも今後さらに活躍しそうな予感がします。

最後に、この映画のパンフレットについて。
谷垣健治さんと江戸木純さんと飯星景子さんによるコラム、くれい響さんによる川井憲次さん(劇伴担当)へのインタビューなど、香港アクションやドニーさんに縁の深い方たちが参加されていて、読みごたえがあります。

映画のパンフって時々、「なんでこの人が書いてんの?」と思うような、作品にあまり関係ない人が文章を寄せていて、読んでみるとたいてい、ぼんやりした抽象的な感想文だったりするのですが、今回のパンフは上記のメンバーですから、具体的で面白い記事ばかり。
このブログ記事を書く際にも、参考にさせていただきました。

『哭声/コクソン』

       祈祷師ジョンミンRR

2016年  韓国  監督・脚本:ナ・ホンジン  出演:クァク・ドウォン、ファン・ジョンミン、國村 隼、チョン・ウヒ、キム・ファニ ほか
各地で上映中  公式サイト→http://kokuson.com/


少し前に観たので細部はやや記憶が薄れているものの、作品自体の印象はまだまだ鮮烈。
というのも、ちょっと変わった映画でして。
何より、構成が変わってると思います。

基本的には、田舎での連続殺人事件と、それを捜査する警官(クァク・ドウォン)の話で、その警官の日常・家族・心情といったものも詳しく描かれるので、彼が主人公ではあるのですが。
クライマックスのガーッと盛り上がるところでは、謎の日本人(國村 隼)と祈祷師(ファン・ジョンミン)がメインになって、警官は脇に追いやられてしまいます。
ちなみに、その日本人と祈祷師に関しては、背景や心情は描かれません。
まさに謎の2人。

つまり、いちおう警官の視点で話が進むものの、大事なところで謎の2人が大活躍(?)するという、不思議な構成。
結局この映画って、警官の視点で観ないほうがいいと思います。
特定の誰かの視点でなく、全体を俯瞰するような気持ちで、しかも、ある村の話でなく世の中とか世界を見渡すくらいのつもりで観たほうが、いろいろ感じるものがあるんじゃないかと。

ナ・ホンジン監督は前作の『哀しき獣』も面白かったのですが、今回は作風が変化していて、また別の面白さがありました。

役者さんではやはり、國村さんとファン・ジョンミンが特に強烈でしたねー。
國村さんがこの摩訶不思議な役で、青龍賞(韓国の有名な映画賞)の助演賞のみならず人気スター賞まで獲ったというのは、國村さん自身も凄いし、韓国の観客の皆さんも凄い。

そしてファン・ジョンミン、いや~やっぱりイイなあ、この人。
祈祷シーンが2回あるんですが、両方とも踊りが素晴らしく、しかも激しい。
彼はもともとミュージカルもやっていて、西洋的ないわゆるダンスが得意なので、今回のような非常に東洋的な衣装や小道具を使っていても、踊り自体は西洋のダンス寄りで、それがまた独特の味わいになってる。

ジョンミン氏に関しては、以前、『新しき世界』でのサルっぽい顔を描いたことがあるのですが、今回は民族衣装のダンス姿、次は洋服で全身像(あくまで予定)…といった具合に、いろんな姿を描いていきたいです。
なお上のイラストは、2回目の祈祷シーンです(1回目とは衣装がかなり違う)。
左手に持っているのは鈴です、棒の先に鈴がいっぱいついているもの。
ブドウではありません…。

『人魚姫』

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2016年  中国・香港  監督・脚本:チャウ・シンチー  出演:ダン・チャオ、リン・ユン、キティ・チャン、ショウ・ルオ ほか
現在、各地で上映中  公式サイト→http://www.ningyohime-movie.com/


20年ほど前に『0061 北京より愛をこめて!?』(94)を観て、主演&共同監督のチャウ・シンチーにすっかり魅了された私。
以後、ずっとシンチーを追いかけています。

彼はその後もしばらく「主演&誰かとの共同監督」というスタイルを続けていましたが、やがて「主演&単独での監督」になり。
またしばらくそれを続けたのち、『西遊記~はじまりのはじまり~』(13)では監督業に専念。
今回の『人魚姫』でも出演はせず、監督に専念しています。

で、この『西遊記』と『人魚姫』の両方、つまりシンチーが監督に専念した2作品にメインの役で出演しているのが、ショウ・ルオ。
おそらくシンチーは、ショウ・ルオを高く評価していて、喜劇俳優として大きく育てたいと思っているのでしょう。

ショウ・ルオもその期待に応えて、そ~と~頑張っています。
彼はもともとアイドルとして人気があったらしく(なるほど顔立ちはキュートなイケメン)、歌やダンス、俳優業など多方面で活躍、今では「アーティスト」と呼ばれるような存在。
そんな彼が、『西遊記』では「空虚王子」という珍妙な役を演じ、今回の『人魚姫』では、また違った珍妙さを持つ「タコ兄」を、熱演・怪演しています。

『人魚姫』は、「悪徳実業家による環境破壊で行き場を失った人魚族が、その実業家の暗殺を企て‥」というストーリーで、ショウ・ルオ演じるタコ兄は、人魚族のリーダー。
人魚なのになぜか下半身がタコで、上半身は貝殻で作った飾り(?)を着用、頭は金髪の編み込みヘア。

この外見だけでもかなり強烈なのに、派手なギャグをいろいろとかましてくれて(特に鉄板焼きのシーン)、実になんというか激しい役です。
ショウ・ルオ、『西遊記』では青白い二枚目だったのに、今回は体をムキムキに鍛えてワイルドな兄貴になりきり、顔面の筋肉も鍛えたのか、ものすご~く顔を歪ませたりします。
でもイラストに描いたように、驚いて目を丸くした時は急にアイドル風な可愛い顔になったりして、まあ忙しい。

なんかショウ・ルオのことばっかり書いてますが、他の役者さんも皆いいですよ~。
悪徳実業家役のダン・チャオは、気持ち悪いダンスが最高。
人魚姫役の新人女優リン・ユン、かわいい(若い頃のスー・チーにちょっと似てるかも)。
警官役のリー・ションチンは近年のシンチー映画によく出ている人で、すごく特徴のある顔をしていて、それだけでも面白いのですが、今回はイラストを使ったギャグが炸裂!
あと、ツイ・ハーク監督が脇役でちょっと出演していて、相変わらずカッコいい。

さて肝心の作品自体は。
風刺的な内容もありつつ、ファンタジーやラブストーリーの要素もあり、そしてやはりシンチーなので、基本的にはコテコテのコメディ。
コントのような場面が多いのですが、決して「コントの羅列」にはならず、ちゃんと「映画」になっています。
ギャグを大事にしつつも、全体を貫くストーリーや人物の感情の流れも大事にしている。
シンチーの映画は昔からそうですが、今回改めて、そのことを強く感じました。

ところでこの映画、主題歌もすごくいいです(特に「ウッ! ハッ!」という掛け声が)。
日本版の予告編にはこの主題歌が使われてないので、こちらのMVをどうぞ→
https://www.youtube.com/watch?v=0Qrd9z0J2gM

『忘れじの面影』

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1948年  アメリカ  監督:マックス・オフュルス  脚本:ハワード・コッチ  出演:ジョーン・フォンテーン、ルイ・ジュールダン、マディ・クリスチャンス、マルセル・ジュルネ


先日、知人の男性から、このブログのイラストについて、「なぜかオヤジが多いですね、若くて可愛い女優も見てみたい」というようなご意見をいただきました。

私は映画を観る場合は、古今東西の色んな作品を観たいと思うほうなのですが。
イラストを描く場合は、「東洋人の、ややコワモテの(クセのある)男優を描きたい」という気持ちが強く、ついそういう人を多めに選んでしまうのです(まあ基本的に、ジョニー・トーのノワールものとかが好きな人間なので‥‥。)

といっても、それ以外の人を描きたくないわけではないし、たしかにこのブログのイラストはちょっと偏り過ぎなので、このへんで女優さんを登場させよう~と考え始めました。
さらに最近の気分として、アメリカの古い映画を観たいと思っていたところ、シネマヴェーラでピッタリの特集が!

「ジョージ・キューカーとハリウッド女性映画の時代」。
で、観てきました、『忘れじの面影』と『旅愁』。
両方ともジョーン・フォンテーンが主演ですが、この方、昔のハリウッド女優としては、容姿がちょっと地味というか。
美人ではあるものの、やや控えめ・あっさりめな顔立ちで、ゴージャスさやセクシーさは、あまり無い。

でも、その持ち味が活かされています。特に『忘れじの面影』では。

この映画で彼女が演じているヒロインは、少女のころ知り合った男性に恋をし、ずっと思い続け、のちに彼と再会し、彼には忘れられていたけれど、2人で楽しく夜を過ごし結ばれて、でも捨てられて、また再会するものの、また忘れられていて‥‥という、やたら彼に忘れられるヒロイン。

そう、彼女の、「美しいけどちょっと地味で、強い印象が無い」という持ち味が、このやや極端なストーリーに説得力を持たせている‥ような気がします。

さらに「彼」役のルイ・ジュールダンは、いかにも押しの強そうな濃いめの二枚目で、「彼女にとっての、忘れられない男」という役柄に、とても合っています。

ところで、さきほどこの映画のストーリーを説明した時、ちょっとコミカルな感じで書いてしまいましたが、この映画自体は、あくまでも「哀しいメロドラマ」でして。
実際には、「彼との間にできた子供が幼いうちに死んでしまう」など、悲劇的な要素もいろいろ入っています。

ただ、あの「やたら彼に忘れられる」という部分は、そこだけ取り出すと、やはりちょっと極端というか、強引というか、一歩間違うとコミカルになりそうな感じ。

でも、そういう極端な要素をあえて投入するからこそ、「哀しいメロドラマ」がググッと盛り上がるわけだし‥‥。
例えばメロドラマで「やたらと、すれ違いが何度も続いて、なかなか会えない」という展開のものがありますが、これなども、「ちょっと極端(強引)だけど、あえてやりました!」ということなんでしょうね。

『タイガー・マウンテン 雪原の死闘』

                 CCF20160129.png

2014年  中国  監督・脚本:ツイ・ハーク  出演:チャン・ハンユー、レオン・カーフェイ、ケニー・リン、ユー・ナン、トン・リーヤー、ハンギョン
(公式サイトは、こちらです


1週間ほど前にシネマート新宿にて鑑賞。
80年代から監督やプロデューサーとして活躍し続けている香港の巨匠、ツイ・ハークが中国で撮ったアクション大作。

ハーク監督は昔から、お金も手間もかかるアクション系の大作を得意としていますが、今の香港映画界はやや衰退ぎみなので、そういう作品はなかなか作れず。
となると、今の中国に活動の場を移すのは自然なこと。

しかし。ご存知の通り、中国には検閲があり、映画の内容は色々と規制されています。
特に政府批判は絶対×で、その逆は◎。

例えば、この映画は1946年の国共内戦時代を舞台にしていますが、検閲の当然の結果として、共産党軍はかなり英雄的に描かれています。
そもそも、あらすじ自体が、「共産党軍の少数精鋭部隊が、東北地方を荒らす残虐な匪賊(ひぞく)の大軍に立ち向かう」というプロパガンダ的なもの。

ただし、そこはツイ・ハーク。
アクションとともに得意とする「ファンタジックな描写」をバンバン繰り出し、単なるプロパガンダ映画とは、ひと味もふた味も違う作品に仕上げています。
あるていど現実的な描写もあるものの、劇画的・幻想的な演出も多用しているので、なんだか架空の国の物語みたいな雰囲気もあったりして。

(この辺りのことについては、ライターの藤本洋輔氏が詳しく述べてらっしゃるので、こちらをどうぞ。他の香港映画人の中国での検閲対策についても、書かれています。)

ただ、私の個人的な思いとしては‥‥やっぱりそれでも少々プロパガンダの匂いがするので、それが残念だなあ、と。

この映画に限らず、例えば(藤本氏も言及している)ジョニー・トー監督の『ドラッグ・ウォー 毒戦』。
トー監督らしさは充分発揮されているものの、公安の描き方などが、やはり少々プロパガンダ的。

まあ、そのへんは、なるべく気にしないようにして観るしかないのかも。
もちろん、将来的に中国の検閲や言論統制が無くなる(緩くなる)ことを願いつつ。

ところで、今回は俳優でなく監督のイラストを描きました。
ツイ・ハーク監督、顔もスタイルもなかなか良いし、独特の雰囲気があって、まるで役者かシニアモデルみたい。
「徐克」(ツイ・ハークの漢字表記)で画像検索すると、いい写真がいっぱい出てきます。ファッション誌の表紙やグラビアにもけっこう登場している模様。

あと、彼は絵も上手いです。
まあホント、凄い人ですわ。

『クリミナル・アフェア 魔警』

                  CCF20150224.png

2014年  中国・香港  監督:ダンテ・ラム  脚本:ジャック・ン、ダンテ・ラム  出演:ダニエル・ウー、ニック・チョン、アンディ・オン、リウ・カイチー、クリスティ・チェン ほか
公式サイト→http://cmaf-makei.jp/
◆シネマート六本木、シネマート心斎橋にて上映中【心斎橋は2月27日(金)まで】
◆シネマスコーレ(名古屋)にて近日上映予定


1週間ほど前に、シネマート六本木にて鑑賞。
2006年に香港で起きた、警官が警官を殺害するという衝撃的な事件をヒントにして制作された映画。
ただし、この実際の事件は解明されていない部分が多いため、いわゆる実録映画ではなく、あくまでも、事件をヒントにして創作されたフィクションです。

ストーリーは‥‥孤独な警官デイブ・ウォン(ダニエル・ウー)が、武装強盗団のホン(ニック・チョン)に出会ってから情緒不安定になり、やがてそれが狂気にまで発展してしまい‥‥というもの。
実はデイブには幼少期の複雑なトラウマがあり、ホンとの出会いによって、そのトラウマがデイブを蝕むようになるのです。

非常に悲しく、やるせないストーリーなのですが、作品自体は、いわゆる「暗く地味な映画」ではありません。
というのも、アクションや爆破シーンがけっこう派手だし、主人公の心理がこれまた派手な視覚効果で表現されていたりするし。
ストーリー的にも色んな細かい要素が仕込んであって、グイグイ引っ張られます。

(まあダンテ・ラムの映画はいつも、色んな要素がギュウギュウ詰め込まれていて、「ちょっと詰め込み過ぎでは‥」と思わなくもないのですが、面白いからオッケーです。)

そして、映画自体が地味になってないもうひとつの原因は、主演のダニエル・ウーでしょう。

彼は、目が大きくハッキリした顔立ちで、背が高くてスタイルも良く。
もともとの容姿や雰囲気が、かなり華やかなんですね。
だから、暗く孤独な役をきっちり演じていても、どこかフワッとした華やかさが漂っている。
そしてそれが、映画自体の印象にも影響している。

というわけで今回は、ダニエル・ウーさんのイラストを描いてみました。

『新しき世界』

                 CCF20141229.png

2013年  韓国  監督・脚本:パク・フンジョン  出演:イ・ジョンジェ、ファン・ジョンミン、チェ・ミンシク、パク・ソンウン、ソン・ジヒョ ほか 
(今年前半に公開済、DVD出てます)

今年の2月に観てとても好きになった作品なので、もっと早く取り上げるべきだったのですが、どうにもイラストがうまく描けず、長いあいだ放置していました。
で、久しぶりにファン・ジョンミンを描いてみたら、相変わらず難しく、あまり良くできたとは言えないものの、サルっぽくて愛嬌のある感じはどうにか出せたと思うので、載せることに。

このジョンミン氏、決して美形ではないけれどブサイクでもなく、なんというか、親しみやすい庶民的な顔。
しかし、スラリとした長身でスタイルは良いので、そういう意味では、なかなかカッコイイ。いつか彼の全身像も描いてみたいです。

ちなみに彼、ミュージカルでも活躍しているらしいので、YOUTUBEでいろいろ動画を観てみたところ、歌も踊りもすごく上手い。
さらに、この『新しき世界』を含む何本かの映画から察するに、ものすごーく芝居も上手い。
もう、才能の塊みたいな人ですな。

あ、ジョンミン氏のことばっかり書いてしもた‥‥。
作品自体についても、少しだけ。

警官がヤクザ組織に潜入する、いわゆる潜入捜査モノのノワール映画。
非情な世界を描きつつも、最終的には強烈な「情」が表現されている。
そしてその「情」で結ばれる2人が、ともに韓国華僑であるという設定(私はこの映画によって、それまであまり知らなかった韓国華僑について、知ることができました)。
それからそれから、ジョンミンだけでなく、他の役者さんたちも皆、素晴らしかった。

この映画の監督・脚本を担当したパク・フンジョンは、以前ここで取り上げた『生き残るための3つの取引』の脚本を書いた人。
『生き残る~』もこの『新しき世界』も非常に惹かれるものがあるので、彼には今後、注目したいと思います。

『エレクション 死の報復』

                CCF20141027.png

2006年  香港  監督:ジョニー・トー  脚本:ヤウ・ナイホイ、イップ・ティンシン  出演:ルイス・クー、サイモン・ヤム、ニック・チョン、ラム・カートン、ラム・シュー ほか
※劇場未公開、DVDあり


黒社会組織の会長選挙を題材にした『エレクション』(2005)の、続編。
そしてこの『死の報復』も会長選挙の話なのですが、『エレクション』とはかなり違います。

簡単に言うと、『エレクション』が「香港黒社会」を描いているのに対し、『死の報復』は、「香港黒社会と中国警察の関係」を描いています。
もっと言えば、「香港と中国(政府)の関係」。

むかし三池崇史監督が、「やくざ映画というのは、現実の一般社会をやや極端な形で表現することができる」みたいな発言をしていて、「なるほどー」と思ったものですが。
『死の報復』は、まさにそういう映画。

当時(2006年頃)の香港社会に漂う不安を、黒社会に象徴させて表現している感じ。
だからこの映画を観ると、最近の香港での「雨傘革命」なども、実に自然な流れとして見えてきます。

ところで今回のイラストは、現会長のロク(を演じたサイモン・ヤム)。
ロクは、人前ではやたらニコニコしつつ、裏では邪魔者を次々に殺している冷酷な男。
そんな彼と、商売上手なジミー(ルイス・クー)が対立し、一方が勝者となるものの、その勝者はさらに大きな「力」に支配されていて‥‥。

具体的にどういうことなのか気になる方は、ぜひDVDを観てみてください。
特典映像のインタビューでは、ジョニー・トー監督らが制作意図などを語っていますよ。

あ、でも、ちょっとグロいシーンがあるので、グロが苦手な方にはオススメできません。

『地下室のメロディー』

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1963年  フランス  監督・脚本:アンリ・ヴェルヌイユ  脚本:ミッシェル・オーディアール、アルベール・シモナン  出演:ジャン・ギャバン、アラン・ドロン ほか

1週間くらい前に、北千住の東京芸術センターにあるシネマ ブルースタジオにて鑑賞。
ブルースタジオは、場所が遠いということもあって、今まで行ったことがなかったのですが、ちょうどその方面で用事があったので、帰りに寄ってみました。
料金1000円でスクリーンがかなり大きく、なかなか良かったです。
 
さて、『地下室のメロディー』。ストーリーを簡単に書くと。
老ギャングのシャルル(ジャン・ギャバン)と、チンピラ青年のフランシス(アラン・ドロン)が組んで、高級リゾートのカジノの地下室にある大金を強奪するが‥‥というもの。

(なお、WOWOWオンライン「町山智浩の映画塾」におけるこの作品の解説動画が、分かりやすくて面白いので、詳しい解説を聴きたい方は、そちらもどうぞ。)

でまあ、この作品、「サスペンスやアクションの演出において、後世の映画に多大な影響を与えた」と言われているわけですが。
個人的には、美形スターの演出の仕方も秀逸だと思います。この場合の美形スターは、もちろんアラン・ドロン。

まず映画が始まってしばらくは、ドロンが全く出てこない。ギャバンばっかり出てきて、ドロンが出てこない。
そうやってじらしておいて、やっと出てきます。ドロンの脚が。
最初は脚だけ。そしてしばらく待っていると、やっとあの顔が初めて映ります。
ここでファンの人たちは、「キャーッ」とか「ヒャーッ」とか言いたくなるでしょう。
(私自身は特にファンではないものの、「おお、やっと出た!」と言いたくなりました。)

そしてドロンはチンピラ青年・フランシスの役なので、最初はカジュアルなチンピラルックで登場するわけですが。
フランシスは犯罪計画遂行のため、「高級リゾートのホテルに滞在する金持ち青年」になりすますことになり。
その時点でファッションが激変します。もう高級スーツとか、タキシードとか、そんなのばっかり。
ドロンの美貌が、いっそう冴えわたります。
それにこの1本の映画で、カジュアルなドロンとフォーマルなドロン、両方楽しめるわけだし。

いろんな意味で、美形スターの見せ方が上手いな~、と感心。

ところでドロンは、ただの美形スターではありません。
よく言われることですが、彼は貧しい生い立ちで、俳優になるまでにさまざまな職業を経験していました。
先述の町山さんの解説によると、外人部隊にいたこともあるそうです。あと、私が昔読んだ何かの本では、裏社会にいたこともある‥と書かれていました。
まあとにかく、いろいろと修羅場をくぐってきたのでしょう。

だから美しいだけでなく、なんというか、ギラギラした妙な迫力や生命力がみなぎっている。
そんな感じを出したいな~と思いつつ、彼のイラストを描きました。
プロフィール

サイボク

Author:サイボク
60年代後半生まれの♀。
東京在住。
twitter.com/saiboku_ya

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