OP映画祭り2008

 OPというのは、ピンク映画のレーベル名です。で、今週の金曜日から来週の水曜日まで(5月2日~7日)、上野オークラ劇場で「OP映画祭り2008」が開催されます。公式サイトによると、「OPを代表する9名の監督の作品を特集上映」「監督が女優を伴って全員集合する豪華舞台挨拶」など、いろいろな企画が用意されているようです。
 
 私としては、5日に竹洞哲也監督の新作『いつまでも どこまでも(不純な制服 悶えた太もも)』の上映と舞台挨拶があるので観に行きたいのですが。いくら特集上映とはいえ成人館なので、やはり行きづらいという気持ちもあります(成人館、少しは行ったことあるのですが、オークラ系はまだだし)。
 
 通常の上映ではなく、イベントや特集上映の時の上野オークラって、客層や雰囲気はどんな感じなのでしょうか? ご存知の方、よろしければ教えてください~。(左下の方にメールフォームがあります。この件以外でも何かありましたら、どうぞご遠慮なくメールください。ただしスパムやそれに類するものはお断りですよん。)

 ちなみに、本当は何日も通って全作観たいくらいです。特に山崎邦紀監督と荒木太郎監督と池島ゆたか監督の作品。でも都合によりそれはできないので残念無念。
 あと国沢実監督の舞台挨拶も、ちょっと気になります。というのも昔、ある映画館でのトークイベントで国沢監督が、「声が小さくて何を言っているのか分からないから」という理由で通訳さん(?)を介して喋っていたのを、妙に憶えているからです。あれはギャグだったのか、何だったのか‥‥今でもああいうことをしているのか‥‥少しばかり興味があります。

※追記‥‥結局5日だけ行きました。この記事の直後に、2回にわたってレポートを書いてます。これこれです。

『PEEP SHOW』

(成人館での公開タイトルは『人妻の秘密 覗き覗かれ』)
2004年 日本 監督:竹洞哲也 脚本:小松公典 出演:吉沢明歩、竹本泰志、沢賀名、華沢レモン、サーモン鮭山、風間今日子

 先週、ポレポレ東中野の「R18 LOVE CINEMA SHOWCASE Vol.5 人のデビュー作を笑うな」にて鑑賞。竹洞(たけほら)哲也監督のデビュー作です。
 昨年の7月に同じ劇場で竹洞監督の特集上映が催された際、行きたかったのに諸事情により観に行けず、先月になってやっと初の竹洞作品『再会迷宮』(2007)を観て、すっかり魅了された私。そんなわけでまだ2本しか観ていないものの、いや~、やっぱり個人的に要注目です、この監督と脚本家のコンビは。
 
 竹洞監督はデビュー以来ずっと脚本家の小松公典(こうすけ)と組んでいるのですが、この小松氏の感受性というかセンスみたいなものが、私にとっては非常に面白いのです。例えば、昨年の特集上映のブログに載っている彼の文章。私はこれを、遅ればせながら最近初めて読んで、爆笑&感心しました。
 ややマニアックなサブカルネタやくだらないダジャレを絶妙な間合いで散りばめつつ、映画製作の苦労を(苦労と感じさせないように)面白可笑しく語り、自身の主義主張もさりげなく提示するという、非常に高度な文章。パッと見にはフザけて適当に書いているように見えるかもしれませんが、こういう文章は相当の技術やセンスが無いと書けない、と私は思います。

 彼の脚本も(といっても脚本を読んでないので完成した映画を基準にしていますが)パッと見には、特に凄いとか凝っているというわけではありません。この『PEEP SHOW』も、「売れないレディコミ漫画家が、バイト先である清掃会社の同僚の覗き趣味に触発されて傑作を完成させる」という、ただそれだけの話。しかし流れがスムーズで後味が良く、また『再会迷宮』と同じくヒロインが現状を打破していく様子が生き生きと描かれていて、とても好感が持てます。
 
 そもそもピンク映画には決まり事が多く、例えば「15分に1回はセックス・シーンを入れる」とか、「(予算の関係で)出演女優は約3名」とか、そういう色々な条件を満たしていなければならないので、脚本を書くにあたって、滑らかなストーリーを作るだけでもかなり難しいはず。だからこそ、それをクリアした上でさらに娯楽映画としての魅力をしっかり生み出している小松氏の力量に敬服します。
 セックス・シーンのシチュエーションがバラエティに富んでいたり、お馴染みのサブカルネタ(今回はブルース・リーのジークンドー)がちゃっかり入っていたりと、芸が細かいところもいいですねえ。
  
 芸が細かいといえば、伏線の張り方。序盤で編集者がヒロインの作品を「パッションが無い」云々と酷評し、中盤でヒロインのネタ帳を見た同僚も、「パッションが~」と編集者と同じ言い回しで酷評。ここまでだったら単なる軽いギャグですが、さらに終盤である事実が明かされ、同僚が編集者と同じ発言をしたのにはそれなりの理由があったことが分かります。巧いなあ。

 何だか小松氏のことばかり書いていますが、これは今回の上映前に行われた、彼とサーモン氏とレモン嬢による舞台挨拶の印象が影響しているものと思われます。胸に巨大な「グワシ」マークがプリントされたTシャツ着用の小松氏が、自身のペンネームの変遷を語るにあたって「遠峯ありさ→華原朋美」を引き合いに出したので、もうホントにその手のネタが好きなんやなあ~と呆れながら笑ってしまいましたよ、わたくしは。

『自虐の詩』

2007年 日本 監督:堤幸彦 脚本:関えり香、里中静流 出演:中谷美紀、阿部寛、遠藤憲一、カルーセル麻紀、西田敏行、岡珠希、丸岡知恵、アジャ・コング

 先月末、新文芸坐にて鑑賞。業田良家による同名の4コマ漫画の実写化。
 元ヤクザで無職のイサオ(阿部寛)と同棲している幸江(中谷美紀)は、パート先の店長(遠藤憲一)に言い寄られても全くなびかず、とにかくイサオにベタ惚れ。そんな彼女の現在と苦難に満ちた過去とをコミカルに描きつつ、人生についてシリアスなテーマを打ち出した映画です。

 私はこの原作が昔からわりと好きで、何度か読み返しているのですが、つくづく実写化が難しいマンガだと思います。例えば、作品の中で繰り返しの定番ギャグになっている、イサオのちゃぶ台返し。イサオは何かというとすぐ「でえ~~い」とちゃぶ台をひっくり返し、その度にちゃぶ台の上のご飯やおかずが派手に飛ぶわけですが。
 これ、業田良家の簡略かつユーモラスな絵柄で描くからこそギャグになるのであって、実写で生身の人間がやると、どうしても「暴力的」「食べ物がもったいない」という印象になってしまいます。そこで映画では、このちゃぶ台返しをハイスピードカメラで撮影し、スローモーション風に演出。結果として生々しさが和らぎ、コミカルな雰囲気が生まれています。

 もうひとつの実写化が難しい要因は、ヒロイン・幸江の顔。原作の幸江は、極端に目が細く(常に目を伏せているように見える)しかもすごい鷲鼻で、子供の頃から周囲の人に「ドラキュラ」だの「ブス」だの言われ続けています。そしてそれが、ほろ苦いながらも微妙なギャグになっています。
 これもまあ、マンガだから成立するわけで。たぶん現実にそういう顔の女性はいないし、もしいたとしても、その女性がスクリーンの中で「ブス」だの何だの言われたら、笑えるどころか観ていて辛くなるでしょう。
 
 こちらに関しても、映画版のスタッフは「技」を使っています。それは、原作の幸江とは似ても似つかない美人・中谷美紀をキャスティングするということ。もちろん彼女が選ばれたのは、堤監督とTVドラマで組んだことがあるからとか有名女優だからとか色々あるでしょうが、いずれにせよ、幸江を演じる彼女がスクリーンの中で「ブス」と言われても、観ていて辛くなることはありませんでした。それどころか「え、どこが?」てな感じ。
 というのも彼女、一応ブスメイクとしてホクロやソバカスを顔に付けてはいるものの、目鼻立ちはいつもと同じで完璧に整っているので、まだ充分美人なのです。また、2人の長身男優(アベちゃんとエンケン)に囲まれているため非常に体が小さく見え、ちょこまかと動き回る姿は、まるで愛らしい小動物のよう。つまり、とても可愛いのです。

 そしてこの「幸江が外見的に可愛い」ということが、作品を観やすくしていると同時に軽くしてしまったと、私は思います。なぜなら映画・原作ともにラストで幸江が、人間の「幸と不幸」についてあるメッセージを打ち出しているのですが、原作の幸江の方が(「ブス」であるがゆえに)背負っているものが重く、メッセージにも重みがあるからです。

『魔悪子が来る!』

2008年 日本 監督・脚本:井口昇 出演:ENBUゼミナール映像俳優【昼】コース生徒

 先週、観てきました。ちなみに当日、会場に行く前に某カフェで時間を潰していたところ、井口監督が入ってこられて私の近くの席に座られたので、ビックリ。監督はすぐにノートパソコンを開いて何か作業を始められたので、店内で声をかけるのは遠慮しましたが、店から会場へ向かう途中、歩きながら少しお話をさせていただきました。
 
 実は2つ前の記事で紹介した知人が、深夜ドラマ『栞と紙魚子の怪奇事件簿』の第12話(井口監督が演出を担当)に出演していたので、そのことをお伝えしたところ、撮影の裏話などを語ってくださいました(ありがとうございました)。
 なお『栞と紙魚子~』は、文字リンク先のサイトで全編動画配信されていますので、未見で興味のある方は是非そちらでご覧になってください。

 では『魔悪子が来る!』について。タイトルと主人公の設定は、往年のイジメられっ子復讐マンガ『魔太郎がくる!!』が元になっているのでしょう。魔太郎は黒マントの下に赤いバラの花模様のシャツを着ていて、魔悪子も黒マントの下に同様の服を着ています(バラかどうかハッキリとは確認できませんでしたが、赤っぽい派手な模様が入っていました)。
 
 魔悪子の過去は詳しくは描かれていませんが、おそらく男からさんざんバカにされたりイジメられたりしてきたのでしょう。男に恨みを持っていて、復讐心に燃えています。彼女は魔導師として、恋愛中の若い男女を次々に地獄へ突き落とし、女たちを操り、操られた女たちは男に噛みついたりオナラが止まらなくなったりします。「魔導師・恋愛・オナラ」というキーワードでお分かりの通り、ジャンルとしては恋愛ホラーコメディ。

 ところでこの記事の冒頭のデータ部分に、「出演:ENBUゼミナール映像俳優【昼】コース生徒」と書いたのは、出演者の個々の名前が分かるような資料が手元に無いからです(すいません)。ENBUゼミの公式サイトに主演の女性の名前だけは載っているのですが、1人だけ書くのも何か違うような気がするし。
 というのもこの映画、主演者だけでなく、20人ほど居る出演者全員に見せ場があるからです。しかもこれは結果としてそうなったわけではなく、監督が最初から明確に意図していたらしいです(「生徒全員の名刺代わりになる作品を目指した」と舞台挨拶でおっしゃっていました)。
 
 普通、そういう意図のもとに映画を作る場合、例えば「ある街で若い男女10組が織りなす恋愛群像劇」とかになりそうなものですが、いや、まあ、この『魔悪子が来る!』も恋愛群像劇ではあるのですが、そうであると同時に「オナラ満載のホラーコメディ」にもなっているところが、いかにも井口監督らしいです。

 そして確かに出演者全員の演技が堪能できるのですが、なかでもいちばん目立っているというか、出てきて少し喋っただけで場をさらうのが、魔悪子役の女性。彼女、なんというか非常に極端な棒読みの喋り方をするのです。他の出演者たちは、いわゆる「感情を込めた」喋り方をしているので、彼女だけが明らかに異質。
 これは、彼女が棒読みしかできないのか、あるいは演出でワザとそのようにさせられているのか。いずれにせよ面白いことには変わりないです。それにこういう極端な棒読みというのは不気味な雰囲気も醸し出すので、オモシロ不気味ということで、ホラーコメディのヒロインにふさわしい喋り方だと思います。
 
 また彼女は、ビジュアル的にもなかなか鮮烈。パッと見は地味な顔立ちで化粧っ気もなく、おまけに黒マントを羽織っていて若い女子的な華やかさとは無縁なのに、たまにマントをめくると派手な服がチラッと見え、そのギャップがたまりません。
 しかも服がノースリーブなので、ムキ出しになった二の腕も見えて、若干ですがエロいです。これって、「黒マントの下には乙女心が隠れているのよっ!」というメッセージなのでしょうか。私は勝手にそのように解釈しました。

 最後に。この映画、本当にやたらとオナラの描写が多いです。子供やオッサンではなく、年頃の娘さんたちがこんなにオナラをしまくる映画は、世界じゅう探しても他に無いと思います。あ、そういえば、この「世界じゅう‥‥と思います」という言い回しは、『おばあちゃんキス』について書いた時も使いましたねえ。
 
 「老婆のキス」とか「若い娘のオナラ」とか、普通の映画には登場しないような女性描写が、井口監督の映画には盛りだくさんです。彼はある意味、非常に濃厚に「女を描く」監督なのではないでしょうか。(念のために書いておきますが、この「女を描く」は、一般によく言われる「女を描く」とは微妙に意味が違いますよ)。
 やはり彼には、以前書いたように阿部定の人生(特に出所後)を映画化していただきたいです。独特なコメディになりますよ、きっと。

【なお同時上映の『春のネコ』(監督:冨樫森)も観ましたが、こちらは『魔悪子~』とは対照的なシンプルでカッチリまとまった短編、という感じでした。私は冨樫監督の『ごめん』という映画が大好きなので、いつかそちらについて詳しく書きたいと思っています。そういえば『ごめん』にも、「普通の映画には登場しないような」描写が出てきますよ。ただし女性ではなく男性に関する描写で。】

書くかも、観るかも

このところずっと、私事で難問が多くて落ち着かないので、あまり更新できていません。が、少しは映画を観ているし、今月観たいものも色々あるので、ザッと書き留めておきましょう。

●先日、新文芸坐で『自虐の詩』を観ました。そのうち作品評を書くかもしれません。

●3日(木)の夜は、渋谷のQ-AXで『魔悪子が来る!』を観ようと思っています。監督・脚本が井口昇で、出演が「ENBUゼミナール」俳優コースの学生。とにかく井口さんが自らのブログで激しく宣伝しまくっているので、ファンとしては気にせざるを得ないですねっ。当日は井口さんが観客に、ジュースをおごったりお腹を触らせたりするそうです。

●現在、渋谷のユーロスペースで上映中の『接吻』も、できれば近いうちに観たいです。『どこに行くの?』を観に行った際、この作品の予告編を見て、何となく「面白そうだな」と思ったからです。無差別殺人を犯して逮捕された男と、彼をテレビで見ただけで一途な愛情を抱く女。それぞれの役を豊川悦司と小池栄子が演じています。2人ともただならぬ気配を漂わせていて、妙に惹かれました。なお、この映画は鑑賞前に詳しい情報を入れない方がいいようなので、公式サイトにはリンクを張らないでおきます。

●今月もまたポレポレ東中野で、ピンク映画の特集上映「R18 LOVE CINEMA SHOWCASE」が開催されます。Vol.5 に当たる今回の特集タイトルは、“人のデビュー作を笑うな”。私が特に観たいのは、佐野和宏、瀬々敬久、そして先月『再会迷宮』でビビっときた竹洞哲也(監督)&小松公典(脚本)コンビのデビュー作。
プロフィール

Author:サイボク
60年代後半生まれの♀。
東京在住。

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