春は桃色、桜色。

 前の記事の最後でチラッと触れたように、春にポレポレ東中野でピンク映画の特集上映があります。タイトルは、『R18 LOVE CINEMA SHOWCASE Vol.7 2009年のピンク映画たち+鎮西尚一の世界』。開催期間は、3月27日から4月9日まで。ちょうど、ピンク色の花(桃や桜)が咲く時期ですね~。
 公式サイトは、こちら→http://www.spopro.net/r18/vol07.htm

 で、今回の上映作品。
◎昨年公開されたピンク映画から‥‥『スリップ』(監督:鎮西尚一)、『イサク』(監督:いまおかしんじ)、『青空ハルカ・カナタ』(監督:佐藤吏)、『たぶん』(監督:竹洞哲也)、『うたかたの日々』(監督:加藤義一)
◎上記の『スリップ』で久々に復活した鎮西監督の過去の作品から‥‥『ザ・ストーカー』『パンツの穴 キラキラ星みつけた!』(この2本はピンク映画ではありません)
◎鎮西監督が推薦するピンク映画‥‥『東京のバスガール』(監督:堀禎一)

 さて。ピンク映画は現在でも、基本的に35mmフィルムで撮影されています。一般映画の世界では、「予算が少ないならデジタルで撮る」というのが当たり前になっているのに、バリバリの低予算映画であるピンクのスタッフは、お金も手間もかかるフィルム撮影を続けている。これ、不思議であると同時に、ありがたいことです。私はフィルム映像が好きなので。
 もちろんデジタルでもフィルムっぽく撮ることはできるし、私自身、その見分けがつかない時もあるので、エラソーなことは言えません。しかしそれでもあえて言ってしまうと。フィルム映像は、奥行きや陰影がきちんとあって、色が鮮明すぎないところがイイんですよ~! もちろん撮り方にもよるので、すべてがそうってワケじゃないのですが、ピンク映画の特集上映に行くと、そういう映像に出会える場合がけっこうあります。

 特に印象に残っているのは、2年ほど前に観た『再会迷宮』(監督:竹洞哲也、撮影:創優和)。作品評では、おもに脚本や演出について書いたんですが、実はこの映画の映像というか撮影には、かなり感激しました。地方の山間部でロケした作品で、山道などの風景も素晴らしかったし、室内でのヒロインの裸体も、とても美しかった。「撮影日数が少なくて、ライティングを丁寧にやる時間も無いはずなのに、こんな風に撮れるなんてスゴイな~」と思ったものです。
 今回上映される竹洞監督の『たぶん』は、『再会迷宮』と同じ創優和氏の撮影で、しかも富士山麓でのロケということなので、どんな画になっているのか楽しみです。

 とにかく。ポレポレ東中野は、ミニシアターとしてはスクリーンが大きいし、座席が階段状になっていて観やすいので、映像をきちんと味わうには最適の劇場です。今までピンクを観たことが無い方も、少しでも興味がある場合は、ぜひ足を運んでみてください。
 今回の記事ではあえて映像について書きましたけど、もちろんストーリーとか役者さんの演技とか、みどころは色々あります。公式サイトの作品解説を読んで、設定などが面白そうだと思った作品を観てみれば、いいんじゃないでしょうか。

いとこ白書(?)

 タコシェといえば、中野ブロードウェイにある本屋さん。おもに自主制作本を扱うお店ですが、映画関係の書籍やDVDも置いてあるし、近くのポレポレ東中野などで上映される映画の前売り券を扱っている場合もあるので、ここを読んでくださっている方なら、一度は行かれたことがあるんじゃないでしょうか。私自身も、タコシェはもちろん中野ブロードウェイ自体がけっこう好きなので、昔から年に何回かは行っています。
 
 さてそのタコシェの店頭に並ぶ本の中に最近、私の従妹が自主制作した冊子が加わりました。タイトルは「4コマ はにほさん」、著者は「KUM」。彼女がブログ上で描き続けている4コマ漫画を、冊子の形にまとめたものです。そのブログがこちら→http://hanihosan4koma.cocolog-nifty.com/blog/(4コマだけでなく、イラストや短めのエッセイもたくさん載っていますよ)

 私がときどき「京都に親戚がいて云々」と書いていますが、その親戚の家には私と歳の近いイトコたちがおりまして、その中の末っ子がKUMちゃんなのです。
 ちなみに私と彼女は、厳密に言うと単なる従姉妹の関係ではありません。なぜなら、お互いの母親同士が姉妹というだけでなく、父親同士にも多少の血縁関係があるので。
 こう書くと、私と彼女が似たような家庭環境で育った、という風に思われるかもしれませんが、実際はそうでもないのです。私の親と彼女の親は、職業や性格がかなり違っていて、そのため子供の教育方針も違っていました(例えば、ウチの親よりも叔父たちのほうがずっと子供の自主性を重んじていた)。あと、住んでいる地域の違いというのもありましたねえ。愛媛と京都では、京都のほうがはるかに都会だし。

 そんなわけで、血縁的には相当近いながらも育った環境は似ていない私とKUMちゃんですが、では2人ともアラフォーなどと呼ばれる年齢になった今、人として似ているかどうかというと‥‥‥意外に似ているところもある、ような。
 や、まあ、似てない点も多いですよ~。彼女のブログからもお分かりのとおり、彼女は私よりも色んな意味で、センスがいいというか洗練されているし、穏やかだし。その他いろいろ、違いはあります。
 しかしですね。けっこう似てるな~と、思うこともあって。例えば彼女の漫画やエッセイを読んでいると、物事に対する違和感の持ち方、みたいなものが自分とすごく近くて、ハッとする時があります。また、(彼女が数年前に東京の近くに引っ越してきたこともあり)ときどき会って喋ったりするのですが、会話の中で「そう、そう!」とか「それ、分かる~」などの共感の言葉が、お互いの口からわりと出てきたり。

 これ、何なんでしょう? 育った環境が違うと思っていたのに実はそれほど違ってなかった、とか? やっぱり血縁が近いから気質が似ている、とか? 自分ではよく分かりません。イトコの不思議、とでも言っておこう。

 ところで。イトコ、イトコと書いているうちに、ふと連想しました。去年の竹洞監督(小松さん脚本)のピンク映画で、『いとこ白書 うずく淫乱熱』(原題は『たぶん』)というのがあったなあ、と。
 竹洞・小松コンビというだけで私は当然観たくて、しかも従姉妹同士の関係を題材にしているらしいので尚更観たい‥‥と思ったら、なんと、3月下旬からポレポレ東中野で開催されるピンク特集で、上映されるじゃないですか! このあいだ書いた『罪 tsumi』(原題は『イサク』)も、ラインナップに入ってるし! この特集上映、公式サイトがまだ構築中ということなので、そちらが出来上がったら改めて紹介します。

※追記‥‥改めての紹介記事は、こちらです

声帯炎、だそうで。

 先週の木曜の夜に喉が少し痛くなり、金曜・土曜と本格的に痛くて発熱もあり。しかし日曜にはだいぶ良くなったので、月曜はわりと普通に過ごしたところ、夜に声が出にくくなる。火曜、朝起きたら喉が痛いうえに声がほとんど出なくなっていた‥‥。
 というわけで、火曜(昨日)は耳鼻咽喉科に行きました。それまでは家にあった適当な風邪薬でしのいでいたのですが、痛みの復活が何だかイヤーな感じだったのと、声の出なさ具合が尋常じゃなかったので、こりゃヤバイな、と思いまして。
 
 病院では、超小型カメラ(?)で喉の中を撮影されましたよ。声帯がかなり腫れていて、病名としては「声帯炎」だそうです。金曜・土曜あたりに、痰が絡んだのを無理に取ろうとして、咳払いの激しいような奴をゲホゲホかまし続けた結果、声帯に炎症を起こしてしまったらしい。
 ところでその喉の写真、今、手元にあるんですが‥‥‥グロい! まあ喉の中って、もともとグニョグニョの粘膜だらけだし、しかもそれが腫れてるわけだから、グロさ倍増。声帯がパカッと割れてる(開いてる)様子も、妙な迫力があります。
 ちなみに、約5日間はキツめの薬を飲み続け、なるべく声を出さないようにして過ごさなくてはいけません。

『罪 tsumi』

(成人映画館での公開タイトルは『獣の交わり 天使とやる』)
2009年 日本 監督:いまおかしんじ 脚本:港岳彦 出演:尾関伸嗣、吉沢美憂、伊藤清美、山崎康之、吉岡睦雄、古澤裕介、小鳥遊恋、及川ゆみり、守屋文雄、松原正隆、川瀬陽太、ローランド・ドメー二グ 
DVDレンタルあり(セル版は3月5日発売予定)

 5日ほど前にDVDで鑑賞。第4回ピンク映画シナリオ募集入選作『イサク』の映画化作品。成人館で公開された際のタイトルは『獣の交わり 天使とやる』で、DVD化にあたり『罪 tsumi』と改題されました。(なお、この『罪 tsumi』は「R15」となっているので、『獣の~』よりも性的なシーンが少し短いバージョンなのかもしれませんが、私は『獣の~』を観ていないので比較はできません。あしからず。)

 『イサク』を書いた港岳彦氏は、脚本のほかに映画評なども手がけている方。私は数年前に港氏の文章をどこかで目にして以来、彼のブログを読んでいます。で、読み続けていくうちに分かったのですが、どうやら彼は、クリスチャンではないのにキリスト教を自らの重要なテーマとして捉え、勉強してらっしゃるようなのです。
 私は信仰心の無い人間なので、バリバリのクリスチャンがキリスト教をテーマにして作った映画や小説には距離を感じてしまうのですが、作者がクリスチャンではないとなると、話は別。逆に興味を感じます。これは多分、「キリスト教に対して否定的だが、とある経験から否定しきれないでいる」という、私自身の中途半端なスタンスが影響しているのでしょう。
 そんなわけで、港氏がキリスト教をテーマにして書いた『イサク』を、いまおかしんじ監督(キリスト教とはほぼ無縁で、この脚本のテーマよりも設定に惹かれたらしい)が演出した『獣の交わり 天使とやる』、ぜひ観たいと思いながら劇場では観られず、今回DVDで初対面。

 観ていちばん感じたのは、少し抽象的すぎるのではないか、ということ。
 たしかにこの映画、難解になりがちなテーマをドラマティックな設定で分かりやすく描いているし、いまおか監督の持ち味である、深刻さの中に絶妙なマヌケさを混入させる演出も効いています。しかし全体としてやや抽象的で、私のような信仰心の無い観客には、今ひとつ響いてこないというか。
 原因は、晴彦という登場人物の描き方にあるような気がします。

 伊作(尾関伸嗣)は、売られたケンカで晴彦(山崎康之)を殴って植物状態にしてしまい、故郷を離れていたが、5年ぶりに帰郷。「会いなさい、会って癒しなさい」というキリストらしき者の不思議な声に導かれたのだ。伊作は晴彦に会おうとして、彼の母・佳子(伊藤清美)からも姉・果穂(吉沢美憂)からも拒絶される。ただ、クリスチャンである果穂は、実は伊作の言動を気にしていた。
 そんなある日、晴彦の兄貴分で果穂に思いを寄せるチンピラヤクザの秀樹(吉岡睦雄)が、伊作を刺す。その事件をきっかけに、伊作と果穂は親しく言葉を交わすようになるのだが‥‥。

 このあらすじだけでもお分かりの通り、晴彦は、すべての発端。ベッドで眠っているシーンがほとんどなので、絵的には目立たないものの、実はさまざまな出来事や人間関係の軸になる人物なのです。ところが、彼が具体的にどんな人物なのか、ほとんど描かれていない。
 映画の中で描かれたり語られたりしているのは、植物状態になった時点で17歳だったことと、子供の頃は母が多忙で姉の果穂に面倒を見てもらっていたこと。また、いわゆる不良少年だったらしいこと。
 これだけでは、晴彦の人柄や人間性は見えてきません。つまり彼の存在自体が、記号的・抽象的なのです。だから、果穂や佳子など他の登場人物の晴彦に対する感情も、伊作の罪も贖罪も、伊作がクライマックスで語る「赦し」も、すべてが抽象的。つかみどころが無い、というか。

 やはり、植物状態になる前の晴彦がどんな少年だったのかを、ほんの少しでいいから具体的に描いてほしかった。例えば佳子と果穂が、晴彦の口癖やよく着ていた服についてチラッと語るとか。あるいは晴彦が眠り続けている部屋に、彼が旅行で訪れて気に入っていた観光地の写真が貼ってあるとか。
 些細なことでいいのです。それがあれば、映画全体の具体性が増したんじゃないでしょうか。

※以下の文章では、作品の結末に触れています。

 そしてこの映画のラストは、抽象的云々ということだけでなく、さらにいくつかの理由によって、信仰心の無い観客には、やや付いていきづらいものになっています。まず、メインの登場人物のうち3人もが、信仰の世界に行くということ。伊作は神の声に導かれた末に、自らが神のような存在になったし、果穂は一度捨てた信仰を取り戻したし、佳子は信仰に目覚めたようだし。それと、信仰に対してハッキリと否定的・懐疑的な人物は、最後まで1人も出てこないんですよね。
 結果的にこの映画、キリスト教を全面的に肯定しているように見えなくもない(作り手の方たちにその意図があったかどうかは別として)。だから、キリスト教に対して少しでも疑問や否定的感情を持っている観客は、やや困惑するのではないでしょうか。少なくとも私は、そうでした。

 最後に。批判的なことをダラダラと書き連ねましたが、これは観た後で色んなことを語りたくなる映画です。台詞も映像も、妙に頭の中に残るし。そういう意味で、面白い作品だと思います。
 DVDのパッケージは、女性でも手に取りやすいキレイ系のデザインになっているので、男女問わず、興味のある方はご覧になってみてください。あ、もちろん劇場で観る機会があれば、その方がいいでしょう。春には、ピンク関係のイベントや特集上映が一般館であるようだし、その際に上映されるかもしれません。

※追記‥‥上映が決まりました。詳しくは、こちらをどうぞ
プロフィール

サイボク

Author:サイボク
60年代後半生まれの♀。
東京在住。
twitter.com/saiboku_ya

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