『アラサーよっこらしょっと!』

成人館での公開題:『肉体婚活 寝てみて味見』
2010年 日本 監督:森山茂雄 脚本:佐野和宏 出演:みづな れい、上原優、伊藤太郎、後藤佑二、倖田李梨、佐野和宏
全国の成人館で順次上映中

 5日前に、上野オークラ劇場にて鑑賞。なお、封切前にこの映画を紹介したとき、関係者の方のブログをもとに、原題を『アラサーよっこらしょ』と書いたのですが、実際に作品を観てみると、ラストに『アラサーよっこらしょっと!』と表記されていた(ような気がする)ので、今回はそちらを書きました。
 
 恋愛が面倒で、特定の恋人を作らない主義のヨッコ(みずな れい)。安定した生活を夢見て、下川(後藤佑二)ら高収入男性との婚活デートを繰り返すアリサ(上原優)。惚れっぽくて、いつも振られてばかりのパルコ(倖田李梨)。アラサーの彼女たちは、佐藤(佐野和宏)がマスターを務めるバーの常連客だ。
 そのバーには、もうひとり常連がいる。酒を口に入れる時以外、常にマスクを着けている無口な男(伊藤太郎)。ある日ヨッコとアリサは、道で偶然その男・須賀と会い、話をするうちに意気投合。
 実は須賀は生まれつき口元にアザがあり、幼い頃から周囲にいじめられ、孤独に生きてきたのだった。そしてそんな自分の人生を、「白い模様のあるカラス」の物語として、絵本にしようとしていた。ヨッコはしだいに彼に惹かれていき‥‥。

 さてこの映画、ちょっと妙な構成になってまして。まず前半はアリサの婚活がメインで、後半はヨッコと須賀の交流がメインになり、ラストでは、須賀の人生(=絵本の内容)が重要な位置を占めます。
 まあ作り手側としては、アリサの打算的な婚活と、ヨッコ&須賀の純な恋愛を、対比させて描いたのかもしれませんが。最終的には、やはりこの作品はヨッコ&須賀の物語であり、同時に須賀の人生の物語でもあるので、アリサの婚活パートは短めにして、ヨッコ&須賀のパートをもう少しじっくり描いてほしかったです。

 あとパルコと佐藤が、ヨッコ&須賀のパートに(実質的には)全く絡んでこないのも、ちょっと気になりました。なんというか、分離している感じ。
 例えば、ヨッコやアリサと親しくなった須賀が、パルコや佐藤とも少し打ち解けて話せるようになり‥‥という描写があれば、そこは微笑ましくていいシーンになっただろうし、何よりも各パートが分離せず、ある程度は繋がっていたと思います。

 ところで今回、脚本が佐野和宏ということで、作品の中に、いかにも佐野氏らしい特徴がいくつか見受けられました。まずは、「孤独な青年が自分の気持ちを絵本に託す」という、ある種のセンチメンタリズムというか、純朴さというか。
 例えば、私がこのブログで何度か触れた、彼の監督・脚本・主演作『Don’t Let It Bring You Down』(原題)。このタイトルは、ニール・ヤングの同名曲から取られたもので、劇中でも登場人物たちが、その曲に言及したり歌詞を呟いたりするわけですが、さらに最後の最後、エンドクレジットの後に、歌詞の一部が英語と日本語の両方で表記されます。そしてその内容は、映画のテーマとピッタリ合っています。ちょっと合いすぎなくらい。
 今回の『アラサ―よっこらしょっと!』でも、須賀の人生(およびこの映画のテーマ)を詩的に表現した絵本の内容が、最後に具体的に示されます。こういう、やや過剰ともいえる純朴なセンチメンタリズムが、佐野氏の中にはあるんですよね。改めて感じました。

 そして上記のこととも関連しているのですが、佐野氏のもうひとつの特徴は、「ストーリーやテーマを分かりやすく表現する」ということ。さすが、瀬々敬久監督『トーキョー×エロティカ』のDVD特典映像で、瀬々監督に向かって「オメーの作品も言ってることもワケわかんねーんだよ!」と言い放った男。あ、細かい言い回しは違いますが、だいたいそういう意味のことを仰ってました。
 そして実際、佐野氏の監督作(私が観た何本か)は、テーマというか「言いたいこと」を率直に差し出してくるような作品です。今回の脚本もそう。

 とにかく「センチメンタルで分かりやすい」というのが、佐野作品の特徴かと。そして私は、そういうのが決して嫌いじゃないのです。
 ついでに書くと、佐野氏のような外見的に渋くてエロい人が、そういう内面を持っている‥ということが、私にとっては面白いわけで。

 やたらと佐野氏のことばっかり書いてしまいましたが、実は私、森山茂雄監督の映画は今回が初めてでして。まだ森山監督の特徴や持ち味は、つかめていません。スミマセン。
 ただ今回、ピンク映画初出演の女優(みずな れい)や、ちょっと素人っぽい感じの男優たち(伊藤太郎・後藤佑二)を、うまく使っていたと思います。皆さん、それぞれ役に合っていました。監督のキャスティング・センスと演技指導が、秀逸だったのではないかと。

 しかしそれにしても、やはり‥‥佐野氏が脚本&出演だと、どうしても彼の色が出すぎてしまうような気がします。見た目も中身も、かなり濃厚な人だから。
 今後は、森山監督がご自分で脚本を書くか、あるいは佐野氏以外の方に頼んだほうが、いいんじゃないでしょうか。そして佐野さんは、早くご自分の新作を撮ってください~。

「変える」とか「変わる」とか

 いろいろあって、しばらく更新できませんでした。そしてその間に、ブログのデザインを変えました。これで5回目くらいでしょうか、デザインの変更。
 今回は、テンプレートを(ブログを始めた頃のものに)戻し、さらにスタイルシートをいじって、配色や文字の大きさなどを、いろいろ試しながら変えていきました。あまり知識がないため、少し改造するくらいしかできないものの、こういう作業はわりと好きで、ときどき無性にやりたくなります。

 今回の変更ポイントのひとつは、「記事の中のカテゴリー名と日付を、今までよりも目立つようにする」ということ。その記事が、どのカテゴリーに属していて、いつ書かれたものなのか、最初にパッと目に入るようにしたかったのです。
 というのもこのブログ、タイトルが「映画記」となっているわりには、(今回のように)映画と直接関係ない記事も混じっています。で、特にそういう記事の場合、カテゴリー名として冒頭でそのことがハッキリ分かった方がいいんじゃないか、と思いまして。
 さらに、ブログを始めてから3年半くらい経つので、過去記事の中には、今の状況や心情と合わないものも増えてきました。そこで各記事について、「○年○月に書いたものですよ~」とアピールしたくなったわけです。

 ちょっと話はそれますが。先述の「今の状況や心情と合わない」、これはつまり「その後、状況や心情が変わった」ということで。まあ一般的に、状況というのは、変わりやすいものですよね。そして心情も、状況によって変わる。じゃあ変わりにくいのは‥‥人の性格や考え方ですかね。特に、もう若くない人の場合。
 実は最近、自分より年上の知人などに対して「この人、相変わらずやなあ」と呆れる事態が幾つかあったのですが、しかし。「彼らが長年持ち続けている欠点」と似たものを私自身もず~っと持っている、ということに気づきました。人に呆れてる場合じゃない。
プロフィール

Author:サイボク
60年代後半生まれの♀。
東京在住。
twitter.com/saiboku_ya

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