「‥‥‥。」

 すでにご存じの方も多いと思いますが、池田敏春監督が亡くなりました。伊勢志摩で入水自殺、とのこと。うつ病を患ってらっしゃったようです(http://eiga.com/news/20110125/16/)。

 もう随分前のことになりますが、ネット上に、ロマンポルノやピンク映画の好きな人たちが集う場がありまして。私も参加させてもらっていました。そしてそこに、池田監督がよく書き込みをしてくださっていました。今でも監督の書き込みの内容を、いろいろと憶えています。
 その他にもいくつか小さな接点があり、直接お会いしたことはないものの、何となく身近に感じられる方でした。だから今回の訃報に対する私のコメントは、今のところ「‥‥‥。」です。

 そして監督の代表作『人魚伝説』が、今月31日と来月1日、渋谷のシネマヴェーラで上映されます。行ける方は、ぜひ観に行ってください。鮮烈で、力強い映画。私も久しぶりに観るつもりです。
 上映に関して、詳しくはこちらをどうぞ→http://www.cinemavera.com/

 ちなみに私、監督の作品では他に、『天使のはらわた 赤い淫画』『MISTY』『くれないものがたり』などが好きです。特に、『くれないものがたり』。
 ちゃんと調べたわけではないので断言はできないのですが、この作品、あまり知られていないというか‥‥あまり上映されていないような気がします。妖艶かつ幻想的な、スクリーンで観るべき素晴らしい作品だと思うので、今後はぜひ劇場で、ガンガン上映していただきたいです。

●追記●
 アップした後で、ふと気づいたこと。『くれないものがたり』は、1992年にパイオニアLDCが製作・配給した作品なのですが、パイオニアLDCといえば、その後、他社との合併など色々あって(社名も何度か変更)。つまり作品の権利関係が複雑になったために、なかなか上映できないんじゃないかと。未だにDVD化も、されていないし。
 いずれにせよ、『くれないものがたり』が長いあいだ上映されず、DVD化もされていないというのは、本当にもったいない。関係者の方々に、改めて検討していただきたいです。

ただいま公開中。

 私がエキストラとして参加したピンク映画、ただいま公開中です。

●公開題:『絶対痴女 奥出し調教』
●監督:友松直之 脚本:友松直之、城定秀夫 出演:あいかわ優衣、亜紗美、若林美保、津田篤、藤田浩、如春
●1月14日~1月20日、上野オークラ劇場と横浜光音座2にて上映。その後、全国各地の成人映画館にて順次上映予定。
●上野オークラ劇場での上映時間は、こちら。

★作品の詳細(と私の感想)→http://kobiri.blog108.fc2.com/blog-entry-174.html
★エキストラ体験記→http://kobiri.blog108.fc2.com/blog-entry-169.html

 あとこれは、ど~でもいい情報なんですが、いちおう友人知人向けに書いておくと。私、劇場内のシーンではほとんど映ってないものの、劇場受付のシーンで、後ろ姿が大きく映ってます(亜紗美さんから「このあいだは、どうもありがとうございました」的なことを言われているのが私)。

『わいせつ性楽園 ~おじさまと私~』

(上記のタイトルは成人館での公開題。原題は不明。)
2009年 日本 監督:友松直之 脚本:大河原ちさと 出演:野上正義、水無月レイラ、山口真里、里見瑤子、金子弘幸、友松直之

 2週間ほど前に上野オークラ劇場で行われた、「野上正義さん追悼上映会」にて鑑賞。
 とても爽やかな映画だと思います。なんかこう、いい具合に乾いた風がフワッと吹き抜けていったような、そんな印象の作品。ピンク映画なので、もちろん濡れ場は何度もあるし、内容的にも老い・孤独・暴力・病、そして死が描かれるのですが、それでも爽やかな余韻が残っています。
 なぜなのか。しばらく考えてみて、思いついた理由。主人公ふたりの、性格というか「生きる態度」が潔いから。

 上野(野上正義)は、妻に先立たれた老人。由紀(里見瑤子)と明美(山口真里)という2人の娘がいて、明美とは同居している。しかし明美は多忙で、由紀もあまり訪ねてこないため、彼は独りで過ごすことが多い。
 マリカ(水無月レイラ)は、恋人と別れようとしている若い女。思春期に義父(友松直之)にレイプされ、やがて家出をし、さまざまな風俗店で働いてきた。恋人のケンジ(金子弘幸)とは、最初はうまくいっていたが、彼が暴力をふるうようになり、逃げ出した。また彼女には、パニック発作の持病があり、いつも薬を持ち歩いている。
 そんな上野とマリカがある日、出会う。そして急速に親しくなっていくのだが‥‥。
 
 上野もマリカも、世間的には「不幸」とか「かわいそう」とか言われがちな境遇に生きています。しかしどうやら彼らは、自分のことをそんな風には思っていない。
 や、少しくらいは思っているかもしれませんが、実際の言動には、自己憐憫的なものが全く無いんですよ。彼らは、軽い愚痴くらいは言うものの、恨みごとは一切言わないし。メソメソしないし。自分の境遇について語る時も、淡々と語るし。
 なんというか、「自分に起きたことを、辛がらずに全て引き受けて生きる」、そんな潔さを感じます。

 この印象は、演じる役者さんの持ち味とも、深く関係しているような気がします。
 まず野上氏。彼はベテランの名優で、もちろん存在や演技に重みはあるものの、重すぎないんですよね。深刻になり過ぎない、というか。つねに飄々としているし。

 そして水無月レイラ。友松監督のブログによると、素の彼女は野上氏を気遣う優しい子だったそうですが、女優としてはダメダメで、「演技以前に台詞が全く覚えられない」状態だったとか。つまりこの映画の彼女は、演技をしているわけではなく、ほぼ素の状態で、監督やスタッフから言われたとおりに動いたり喋ったりしているだけ、なのでしょう。
 しかし逆に、それが良かったのかもしれません。というのも、例えばある程度芝居ができる女優や、あるいは熱演型の女優が演じていたら、このマリカというヒロインは、もう少し湿っぽくて感傷的な人物になっていたと思うんですよ。
 演技のできない、「感情を込める」などということのできない水無月レイラが扮したことによって、マリカは、“「不幸」と言われがちな境遇でも淡々とサッパリと生きる娘”になったんじゃないかと。また、素の水無月さんの優しさがそれとなく伝わってくるので、淡々としていても冷たい感じにはなってないし、結果的には良かったんじゃないでしょうか。

 ところでこの映画、終盤はちょっと意外な展開になります。そしてラストシーン。上野は、まさに「自分に起きたことを、辛がらずに全て引き受け」ます。深い悲しみはあっても、自分なりに納得して引き受ける。そのシーンでの、上野=野上氏の笑顔は、特に心に残っています。

 最後に。
 先ほどチラッと触れたように、友松監督がご自身のブログに、この映画の裏話や野上氏の思い出をお書きになっています。やや長めの文章ですが、「長くてもかまわない!」という方は、ぜひお読みください。とてもいい文章なので。
http://ameblo.jp/n-tomomatu/entry-10751192697.html

野上氏のこと

 前の記事で、「昨年最後に観た映画は、ピンクの2本立て(俳優・野上正義氏の追悼上映)」と書きましたが、この野上氏は、ピンク映画の草創期から活躍されていた方。先月22日に、70歳で亡くなりました。
  
 彼がどんな俳優さんだったかを、端的に表した記事があるので、それを紹介します。かなり前にもリンクを張らせていただいたことのある、m@stervision氏のサイトの記事。
 ただし、これ、うまく張れていません。直接その部分だけにリンクすることができず、なんとも分かりにくい状態になっています。だから、ちょっと説明を。
 
 このリンク先は、m@stervision氏によるピンク映画批評(2001年)のページです。その上から20番目に、『フェリーの女 生撮り覗き』(荒木太郎監督)という映画のレビューが載っていて、このレビューの後半に、野上氏のことが書いてあります→http://www.ne.jp/asahi/hp/mastervision/archive2001p.html
 非常に印象深い文章で、私は野上氏の訃報に接した時、映画の中の野上氏の姿とともに、この文章を思い浮かべました。気になる方は、ぜひお読みになってください。そして、野上氏だけでなくピンク映画自体にも興味がある、という方は、このページに載っている他の作品のレビューも、ぜひ。

 私が昔から、(少しずつではありますが)ピンク映画を観続けてきた原動力のひとつが、このm@stervision氏のサイト。彼の文章を読んでいると、「やはりピンクも観なくては!」という気にさせられるんですよ。
 残念ながら、彼はここ2年ほどサイトの更新を休んでいますが、できれば近いうちに復活していただきたいです。

改めて、書いときます。

 あけまして、おめでとうございます。昨年のうちに、あと1回は更新するつもりだったのですが、年末に突然パソコンが動かなくなるなど色々あって、結局できませんでした。
 ちなみに昨年最後に観た映画は、ピンクの2本立て(俳優・野上正義さんの追悼上映)。そして今年最初に観たのは、アメコミの実写化作品『キック・アス』。今年もジャンルにとらわれず、興味があれば何でも観てみようと思います。

 この機会に改めて書いておくと、私には、嫌いなジャンルや避けているジャンルは特にありません。だから、数は多くないものの、わりと色んなジャンルの作品を観ています。そして観た中から、(良くも悪くも)印象に残ったものを選んで、このブログに書いています。
 といっても時間的な問題などから、印象に残った作品でも書けない場合もあります。スミマセン。

 なお最近は、作品評でも情報でも何でも、ピンク映画に関することを優先的に書くようにしています。なぜなら、ピンクは各所で必要以上にガン無視されているから。
 前にも書きましたが、昔ならピンクを取り上げていたタイプの(サブカルもエロ話もOKな)メディアでも、だんだんピンクを排除するようになってきました。まるで存在しないかのような扱い。
 まあ、たしかに存在が危うくなってきてはいますが。年々、制作本数も減っているし。ちょっとキツい言い方をすると、絶滅危惧種っぽいです。でも、絶滅危惧種だからこそ注目すべき、という考え方もあるわけだし。
プロフィール

Author:サイボク
60年代後半生まれの♀。
東京在住。
twitter.com/saiboku_ya

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