園監督のゲイ映画やってますよ。

 昨夜、名画座の目黒シネマで、園子温監督のゲイ映画『男痕 –THE MAN-』(1998)を観てきました。タイトルの漢字部分は、もちろん「だんこん」と読みます!
 (以前にも書いたように、目黒シネマは、ピンク映画の配給などを手がける(株)大蔵映画が経営している劇場。だから、大蔵の配給作品である『男痕 –THE MAN-』がここで上映されるのは、ある意味、非常に分かりやすいことだったりします。)

 さて肝心の作品ですが、なかなか良かったですよ~。台詞がほとんど無い実験的な作風なので、好みは分かれると思いますが、私はわりと好きです。詩情がある、というか。
 
 あと劇場のサイトに、「園版ソナチネ」「ゲイ版アウトレイジ」と書いてあるのですが、『アウトレイジ』はともかく、たしかに『ソナチネ』に似ている部分はありました。
 さらに主演が伊藤猛さんで、彼が寡黙に人を殺したりセックスしたりするので、ピンク映画ファンなら、ピンク時代の瀬々敬久監督が関わった伊藤さんの主演作などを、連想するかもしれません(私はしました)。

 上映は明後日(4月13日・金曜日)までなので、興味のある方は目黒へ急げ~。なお私を含め、女性ひとりで来ている人もけっこういましたよ~。
 
●上映開始時間・料金など→http://www.okura-movie.co.jp/meguro_cinema/late_show.html
●劇場の地図など→http://www.okura-movie.co.jp/meguro_cinema/about.html#access

『レイプゾンビ LUST OF THE DEAD』

2011年 日本 監督:友松直之 脚本:友松直之、石川二郎 出演:小沢アリス、亜紗美、あいかわ優衣、小林さや、中沢健、貴山侑哉、福天、里見瑶子、若林美保、倖田李梨、内田春菊、影山英俊

 1週間ほど前に、DVDで鑑賞。(撮影に参加させていただいたこともあり、ぜひ完成記念イベントには行きたかったのですが、残念ながら行けず、イベントで上映されたというディレクターズ・カット版は未見です。)

 さて、『レイプゾンビ』というタイトルと、「世界中の男たちが次々にゾンビ化して女たちをレイプし‥‥」という設定からは、「悪趣味なバカエロホラー」の匂いがモワッと漂っていて、まあ実際、この作品にはそういう側面もあるわけですが、それだけではないんですよ。
 例えば、台詞でも主題歌でも「女は犯せ~!」的な言葉がやたら出てくる一方で、レイプされた過去を持つ女性キャラの悲哀が、ビシッと描かれていたりして。特に、夫(稲葉凌一)から暴力をふるわれ犯され続けてきたカナエ(亜紗美)が、大勢のレイプゾンビを相手に戦うアクション・シーンは、彼女の情念がみなぎっていて素晴らしい。

 というようなことは、すでに色んな方が書いてらっしゃるので、ここからは、作品の細部に関する個人的な解釈やら何やらを記しておきます。

 さきほど設定として、「世界中の男たちが次々にゾンビ化して女たちをレイプし‥‥」と書きましたが、実は厳密に言うと、「世界中の男たち」ではなく、「童貞オタクを除く世界中の男たち」。つまり、童貞オタクはレイプゾンビにならない、という設定なのです。
 
 しかも劇中で、カナエが「(一般的に)レイプ犯はオタクよりスポーツマンだって聞いたことある」と言ったり、ノゾミ(小沢アリス)が高校時代にラグビー部員から輪姦されていたり、この作品では徹底して「スポーツマンはレイプする、オタクはしない」ということになっています。
 これは、現実社会でマスコミなどがスポーツマンを過剰に「爽やかな存在」として扱うことに対する皮肉、なのかもしれません。

 そして、絵にかいたような童貞オタクのノボル(中沢健)が、タマエ(あいかわ優衣)に誘惑されているうちにレイプゾンビ化し、オタクっぽい環境評論家(福天)が、暴力行為をキッカケにレイプゾンビ化しているところを見ると、さらに厳密な設定としては、「童貞オタクでも、心の中に非オタク的な何かが芽生えたらレイプゾンビになる」ということなのでしょうか?

 もしそうだとしたら、最後までレイプゾンビ化しなかったフレッシュ後藤(貴山侑哉)は、「身も心も童貞オタク」ということになります。これは面白い。
 彼はレイプ肯定論者で、独特の持論を展開したあげく、世の男たちに向かって「犯せ! ヤリまくれ!」と煽るわけですが、その彼自身が童貞オタクって‥‥。しかも彼、長身のイケメンなんですよ。ずいぶん複雑なキャラやなあ。

 あ、そうだ、フレッシュ後藤を主人公にしたスピンオフなんて、どうですか? 彼がいかにして、そういう面白い人物になったのか。その過程を観たいです。


※追記(4月8日)‥‥この文章について友松監督のブログのコメント欄でやり取りした内容を、監督が記事としてアップしてくださいました。これを読むと、設定に関する監督の真意がよく分かりますよ→http://ameblo.jp/n-tomomatu/entry-11216492547.html
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サイボク

Author:サイボク
60年代後半生まれの♀。
東京在住。
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