追悼 伊藤猛さん

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遅くなりましたが、9月7日に亡くなった伊藤猛さんの追悼記事です。
なぜ遅くなったのかというと、なかなが絵が仕上がらなくて‥‥(最初に、かなり時間をかけて描いたものをボツにして、また新たに描いたりしていた)。

私は約20年間、いろんな映画で伊藤さんを観てきて、彼の顔については、「こんな感じ」という特定のイメージを持っていたのですが。
今回、改めて彼の画像や作品で「顔」を観察してみると、加齢による変化があるだけでなく、同じ頃に撮られたものでも、表情や角度や照明などによって、かなり顔が違うんですよね。
例えば1本の映画の中でも、別人みたいに顔が違っている時がある。

そんなわけで、観察したり描いたりしているうちに、だんだん「伊藤さんの顔」というものが分からなくなってきて。
結局は、彼の主演作『高級ソープテクニック4 悶絶秘戯』(1994・瀬々敬久監督)の中の、あるカットをベースにしつつも、他のたくさんの画像も参考にして、さらに自分の持っているイメージも投入して描いてみたのですが、今ひとつ似てないかも‥‥すみません。

ところで、なぜ今回『高級ソープ~』での彼を描いたのかというと。
実は、前回の記事を作っていた時(8月末ごろ)、川瀬陽太さんの昔の顔を改めて観察しようと思い、その参考資料のひとつとして、『高級ソープ~』のDVD特典映像(たぶん2003年に撮影されたもの)を延々と観ていたのです。

この特典映像はちょっと変わっていて、いちおう「作品の関係者たちが本編映像を見ながらワイワイ喋る」という形式になっているものの、なぜか、本編には全く出演していない川瀬さんが参加しているのです(伊藤さんは都合により欠席)。

つまり川瀬さんが、本編映像の中の伊藤さんを見ながらアレコレ喋っているわけで。
私としては、川瀬さんの顔を観察しつつも、やはり本編にも目が行ってしまい、結局『高級ソープ~』のかなりのシーンを、久しぶりに観たのでした。

そしてこの映画、観た方にはお分かりいただけると思いますが、なんというか、非常に暗くてシリアスで。もっと言うと、死の影が濃い、死の匂いが強い‥‥のです。
そういう映画の中の伊藤さんを8月末ごろに観ていたものですから、その約1週間後に訃報に接して、とても不思議な気持ちになりました。
だからどうしても、この映画の中の彼を描いておきたかった。

ちなみに、彼の代表作というと、この映画の瀬々監督をはじめとする「ピンク四天王」や「七福神」と呼ばれる監督たちの作品がまず挙げられますが、個人的には、園子温監督のゲイ映画『男痕-THE MAN-』も印象深いです。

『男痕~』は全編にわたって一言も台詞が無く、だから例えば、伊藤さんが歩いている後ろ姿が延々と映っているだけのシーンなどもあるのですが、そういうシーンでも全く退屈しない、むしろ見応えがある(カッコいいし)。
ただ歩いているだけでも絵になる、映画になる。そんな俳優さんでした、伊藤猛さん。

『痴漢電車 さわってビックリ!』

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2001年  監督:榎本敏郎  脚本:河本晃  出演:川瀬陽太、麻田真夕、葉月螢、佐野和宏、小林節彦、十日一秀悦、鈴木敦子、あ子 ほか
(『痴漢電車 さわってビックリ!』は、成人映画館での封切時のタイトル。シナリオタイトルは、『耳を澄ます夏』。また現時点での成人館での上映タイトルは、『熱い吐息 股間のよだれ』。)

最近、曽根中生監督が亡くなってしまったり、新橋ロマンが閉館してしまったり。そのあたりのことも色々と書きたいのですが、今回は、この13年前に作られたピンク映画について。

なぜかというと、少し前に、ドロップさんがこの映画を激賞しているのを読んで、そしたら久しぶりに観直したくなって、観たら書きたく(描きたく)なった、というわけです。

私のこの映画との出会いは、たしか10年くらい前。知り合いの方が、複数のピンク映画やロマンポルノを(おそらく)CSで録画したテープをくれて、その中に入っていたんですね。
観てみると、とてもいい作品だし、なにしろ佐野和宏が猛烈にカッコいいので、いつかちゃんとスクリーンで観たいな~と思っていたら、数年後にその機会があって、さらにまた数年後にもスクリーンで再会。

そんなわけで、観るのは多分これで4回目。そして今回は、劣化したテープでの鑑賞。画質がよろしくないので、スクリーンで観た時の印象を思い出しながら‥という妙な状況。
しかし! それでも! 面白かった。ほんと、細かいところまで丁寧に工夫して作ってあるなあ。

たとえば、電車でスリをしているアスカ(麻田真夕)が、その仕事(?)を無理やり手伝わせているユウジ(川瀬陽太)に対し、ある何気ない台詞を全編にわたって何度も言うのですが。
いちばん最後に言った時だけ、それまでとは違った切ない思いが濃厚に込められていて、グッと胸に迫ってきたり。

あと、ドロップさんが書いていた、中年スリ役の佐野和宏が川瀬陽太のポケットにハーモニカをねじ込むところも、もちろんイイのですが。
その直後、手前に川瀬氏、奥に小さく佐野氏‥という図になった時、よく見ると、奥の佐野氏がけっこう細かい芝居をしていて、その足の動きが面白い。

とにかく、よくできたラブコメ。明るくて軽快、爽快。
ピンク初心者の方でも、観やすい作品だと思います(DMMで配信されてますよ)。

そして今回のイラストは、主演の川瀬陽太。
彼に関しては、以前記事を書いたことがあるのですが、それにひとつ付け足しておくと。

彼を若い頃からずっと(映画の中で)観ていて思うのは、5年くらい前に顔つきや雰囲気が変わったな、ということ。
それまでは、ずっと青年っぽいというか、実年齢より若く見える状態が続いていた(と思う)のですが、5年くらい前、ちょうど彼自身が40代に差しかかった頃から、歳相応の渋さとか(良い意味での)オッサンらしさが出てきたなあ、と。

もちろん、この『さわってビックリ!』の時の彼は、まだまだ青年っぽい。
そして役柄は、かなりマヌケでいつもジタバタしていて‥‥。でも終盤に、ある決断をした時、少しキリッとした顔になります。その顔を、描いてみました。
プロフィール

Author:サイボク
60年代後半生まれの♀。
東京在住。

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