『イップ・マン 継承』

      ドニー低い構え

2015年  中国・香港  監督:ウィルソン・イップ  脚本:エドモンド・ウォン  出演:ドニー・イェン、マックス・チャン、リン・ホン、パトリック・タム、ケント・チェン、チャン・クォックワン、マイク・タイソン ほか

各地で上映中、または上映予定あり  
公式サイト→http://gaga.ne.jp/ipman3/


武術「詠春拳」の達人でブルース・リーの師匠として名高いイップ・マンの生涯を描く、シリーズ3作目。

今回は、街を荒らす不動産王フランク(マイク・タイソン)と戦う羽目になったり。
「自分こそが詠春拳の正統」と主張するチョン・ティンチ(マックス・チャン)から挑戦状を叩きつけられたり。
物静かで争いを好まないイップ・マン(ドニーさん)にとって、困ったことが続出。
さらには、愛する妻(リン・ホン)が病魔に襲われてしまい……。

シンプルで分かりやすいストーリーですが、作品自体に「物足りない」という感じは無いです。
やはり、素晴らしいアクション・シーンが随所に登場するからでしょう。

今回のアクション監督はユエン・ウーピン。
アメリカでも活躍し、今や世界的なアクション監督ですが、今回、古巣の中華圏、しかも自分の弟子といえる2人(ドニーさんとマックス・チャン)がメインの映画ということで。
いかにも動きづらそうな場所で戦わせたり、素手だけでなく色んな武器を使わせたり、ハイレベルかつ凝った演出になっています。

ただし一部のシーンでは、ドニーさんが自らアクションの振り付けを担当したそうで、それはイップ・マンとフランクとの戦いのシーン。
ここでイップ・マンは、非常に印象的な構えのポーズをとります(上のイラストに描いてあるポーズ)。
実はこのポーズ、正式な詠春拳の型ではなく、「詠春の構えのまましゃがんだポーズ」だそうです。

つまり、リアリズムとしては×なのだけど、かっこよくて劇的な効果もあるから「映画の演出」としては◎、という考え方なのですね。
その結果として、あのポーズが気に入ってイラストに描いたりする観客も出てくるわけですから、まさにドニーさんの思うつぼ、ですなあ。

いっぽう俳優としてのドニーさんは、というと。
昔はドニーさんがこういう「物静かで穏やかな人」を演じていると、なんかちょっと無理してるというか、本来はギラギラした人が頑張って静かな人を演じてるように見えたものですが。
今回は、そういう無理やり感・頑張り感は一切なし!
自然にイップ・マンになりきっているように見えました。

ドニーさんも今年で54歳だし(撮影時は52歳くらい)、人としても役者としても経験を積んで、渋みが出てきたのかもしれません。

また優れたアクション俳優とは、「役の感情や意志をアクションで表現できる人」だと私は常々思ってますが、そういう意味でも、ドニーさんはますます成長しているし、マックス・チャンも今後さらに活躍しそうな予感がします。

最後に、この映画のパンフレットについて。
谷垣健治さんと江戸木純さんと飯星景子さんによるコラム、くれい響さんによる川井憲次さん(劇伴担当)へのインタビューなど、香港アクションやドニーさんに縁の深い方たちが参加されていて、読みごたえがあります。

映画のパンフって時々、「なんでこの人が書いてんの?」と思うような、作品にあまり関係ない人が文章を寄せていて、読んでみるとたいてい、ぼんやりした抽象的な感想文だったりするのですが、今回のパンフは上記のメンバーですから、具体的で面白い記事ばかり。
このブログ記事を書く際にも、参考にさせていただきました。
プロフィール

サイボク

Author:サイボク
60年代後半生まれの♀。
東京在住。
twitter.com/saiboku_ya

最新記事
カテゴリー
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

ブログ内検索
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
RSSフィード
リンク