『インファナル・ディパーテッド』

2006年 香港 監督・脚本:ハーマン・ヤオ 出演:ニック・チョン、フランシス・ン、アンソニー・ウォン (日本未公開、DVD発売&レンタル中)
発売元の公式サイト→http://www.takeshobo.co.jp/mgr.m/main/shohin

 あけましておめでとうございます。さて年末年始には3本ほど映画やDVDなどを観たので、それらについて書いておきます。
 まずは『インファナル・ディパーテッド』。この邦題は要するに、『インファナル・アフェア』とそのハリウッド・リメイク版『ディパーテッド』という2つのタイトルを、テキトーにくっつけただけ(たぶん)。
 香港映画だし潜入捜査官モノだし‥という理由は分からんでもないですが、こういう邦題がついていると中身もテキトーだと誤解される確率が高いので、ちょっとどうかと思います。実際には、独自の視点できちんと作られた映画ですし。ちなみに原題は『白黒道(ON THE EDGE)』。

 潜入捜査のため長期間マフィアの一員になりすまし、ボスであるダーク(フランシス・ン)を逮捕したホイサン(ニック・チョン)。やっと警察官として復職したものの、警察内部ではマフィアとの内通を疑われ、マフィアからは「裏切り者」と罵られ、苦しい立場に。しかもダークが刑務所内で自殺してしまい‥‥。
 
 つまりこれは、「潜入捜査の過程で生じる苦悩」ではなく、「潜入捜査を成功させた瞬間から始まる苦悩」を描いた作品。困難な任務を終えて復職したホイサンを待っていたのは、同僚たちの冷ややかな目と、お偉いさんから形式的に授与される功労賞、そして内部調査室による尾行。結局彼は、警察という巨大な組織に利用されたようなもの。しかもマフィアの方にも、彼を利用しようとする者や陥れようとする者が出てきて、ホイサンの孤独と絶望は深まっていきます。
 というわけで、かなり内容的に救いの無い映画。ただ、アンソニー・ウォン演じる同僚刑事が、冷たいように見えて実は温かみがあったり、ダークが単なるワルのボスではなく、なかなか魅力的な人物だったりするあたりは、観ていてホッとします。あ、でも、ダークが魅力的だからこそ彼の自殺が重い意味を持つのであって。やっぱりほとんど救いは無いですね。

 メイン・キャストの3人は、前回の記事に書いた『エグザイル/絆』でも共演していました。で、その記事の最後にチラッと言及したアンソニー主演の『エボラシンドローム 悪魔の殺人ウィルス』&『八仙飯店之人肉饅頭』の監督はハーマン・ヤオですが、この『インファナル・ディパーテッド』の監督もハーマン・ヤオ。同姓同名の別人ではなく同一人物だそうです。
 個人的に『エボラ~』のエロ・グロ・バカっぷりがあまりにも強烈だったので、ヤオ監督がこういうシリアスな映画も撮れると知って、ちょっとビックリ。器用やなあ。ある意味、凄い監督だと思います。
 
 そういえばこの映画、現在(ホイサンが復職してから)の描写の中にたびたび過去(潜入捜査中)の描写が挿入されるという、やや複雑な構成なのですが、決して分かりにくいなんてことはありません。なぜならホイサンの髪が、現在パートでは黒髪、過去パートでは金髪になっているから。これ、設定としても非常に理にかなっていますよね。
 内容的には重めの映画ですけど、こういう部分で視覚的に分かりやすく作ってあるし、上映時間も90分と短めなので、構えずに観ることができますよ。
プロフィール

サイボク

Author:サイボク
60年代後半生まれの♀。
東京在住。
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