『ラーメン必見伝 ~麺VSスープ 至極の兄弟対決篇~』

2006年 日本 監督・脚本:城定秀夫 脚本:城定由有子 出演:水元ゆうな、吉岡睦雄、中村英児、畠山寛、ホリケン。 (DVDレンタルあり)

 昨年、ケーブルTVを受信している友人から、チャンネルNECOで深夜に時々放送されるという“ネクスタシー”なるレーベルのOV作品群の話を聞き、そのレーベルにちょっと興味を持ちました。
 まず、名前自体が微妙に面白い‥‥。どの作品にもセックスシーンがあるらしいので、おそらく“ネクスト・エクスタシー”を縮めたものなのでしょうが、語感としてはネッシーやネクター(果肉飲料)に似ていて何となくヘン。さらに、こういう官能系のレーベル名を付けてエロを売りにしているわりには、グルメ対決を題材にした作品が妙に多いというのも、これまた面白いというか不思議というか。

 そんなわけで先日、ネクスタシーの中の1本、『ラーメン必見伝』の録画テープを借りて観ました。監督・脚本は城定秀夫。私は、彼が脚本を担当した『ヒロ子とヒロシ』を観て少々ガッカリしたので、それ以外の彼の作品を観ていませんでした。しかし縁あって(?)出会ったこの作品は、かなり良かったです。

 恋人(畠山寛)に去られたうえ勤務先のメイド喫茶が潰れて傷心の珠子(水元ゆうな)は、高志(吉岡睦雄)と浩二(中村英児)の兄弟が切り盛りするラーメン屋で働くうちに明るさを取り戻すが、兄弟の両方が珠子を好きになってしまい‥‥という内容。適度にセックスシーンあり。
 要するに、メイドさんとラーメンとエロという、ある種の男性層が好きそうなものをあれこれ詰め込んだ作品で、おそらくメーカー側からそういう要請があったのだと思いますが、その要請にきちんと応えつつ、切なくも爽やかな余韻の残る感じのいい作品に仕上がっています。
 
 特に私が感心したのは、俳優さんたちの魅力や実力が充分に引き出されていること。この種の作品だと準備や撮影の期間はかなり短いはずなのに、演技経験の少ない主演女優もわりと安定した芝居ができているし、吉岡睦雄と中村英児はラーメンを作るシーンでちゃんとプロの料理人に見えるし。これらはもちろん本人たちの力あってのものですが、監督の指導や撮り方(見せ方)によるところも大きいでしょう。

 それにしても、この作品の吉岡睦雄、すごくイイです。料理のシーンに限らず、全体的に演技がしっかりしていて雰囲気も味わい深い。ちょっとビックリしました。
 というのも私は今まで、彼が出演しているピンク映画を何本か観たり、上映会でご本人を間近に拝見した印象として、失礼ながら「何だかボヤ~っとした人」としか思っていなかったので。役柄的にも、いまおかしんじ監督の『たまもの』の影響か、「フラフラしていて頼りない感じの青年役が似合う」というイメージだったのですが、今回はそういう役とは全く違う、頑固で職人気質で女性に対して純情な料理人を的確に演じています。
 
 作品の序盤では、高志の頑固(というか無愛想)な面が強調されていて、しかも浩二が高志の外見について「カマキリみたいな気持ち悪い顔」(!)と発言するシーンがあるので、「そういえば吉岡氏ってカマキリに似てるかも~」などと思いながら観ていたのですが、ストーリーが進むにつれてだんだんイイ男に見えてきて。特に、高志がスープの研究に没頭している姿を珠子が「カッコいい」「ステキ」と褒めるシーンでは、本当にとてもカッコよく見えました。 
 
 こういう前半と後半でギャップがあるというか、途中から飛躍的に魅力が増すキャラクターというのは、非常に儲け役ですよね。チラッと調べたところによると、城定氏は自分の作品に吉岡氏をたびたびキャスティングしているとのことで、私としては今回、吉岡氏の新たな魅力を思い知るとともに、城定氏の彼に対する信頼と愛情を感じました。
プロフィール

サイボク

Author:サイボク
60年代後半生まれの♀。
東京在住。
twitter.com/saiboku_ya

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