『あるヌードモデルとマネージャーの不慣れな恋の物語』

(成人館での公開タイトルは『菊池エリ 巨乳』)
1986年 日本 監督:細山智明 脚本:鴎街人 出演:菊池エリ、池島ゆたか、橋本杏子、藤村真美、秋山未来、中村京子
監督による解説や場面写真・ポスター画像など→http://www.interq.or.jp/earth/kiyomats/tworks_files/nudemodel.html

 前回の記事に書いた『NEXT』と2本立てで鑑賞。内容は、監督&脚本の細山智明(“鴎街人”は細山氏のペンネーム)がつけたタイトルのとおりです。すなわち、あるヌードモデルとマネージャーの不慣れな恋の物語。本当にこれだけと言っていいほどシンプルなストーリーなのですが、最後まで引き込まれて観ました。
 
※以下の文章では作品の結末に触れています。

 監督の解説にもあるように、この映画で描かれているのは、プラトニックな恋愛。ヌードモデルのエリ(菊池エリ)のマネージャーである影田(池島ゆたか)はエリに思いを寄せ、エリのほうも影田に好意を持つものの、結局彼らは一度も体を重ねることはなく、キスはおろか手をつなぐことさえないまま、ある事件をきっかけに別れ、そこで映画は終わります。
 
 この構成だけでも充分に切ないのですが、さらにその切なさを増幅させているのは、頻繁に登場するエリと他の男性(時には女性)とのセックスシーン。といっても、それらはあくまでも「エリが仕事をしているシーン」ではあるのですが。
 つまり彼女はヌード写真のモデルだけでなくAV女優のような仕事もしていて、むしろそちらがメインなので、「仕事のシーン=色々な人と濃厚なセックスをしているシーン」となるわけです。しかもそれらのセックスシーンでは、エリの傍に、いつも影田がいる。彼もまた「仕事」として、彼女が他の男(女)と激しく絡み合っている姿を、じっと見守っているのです。彼自身は、彼女に触れもせず。
  
 さらにこの映画、エリと影田がバーなどで一緒に話しているシーンでは引きの画が多く、反対に、エリが男優や女優と絡んでいるシーンでは寄りの画が多いので、後者が強調されているというか、グイグイ迫ってくるような感触があり、よけいに切ない気持ちが喚起されます。

 ここまで何度も「切ない」と書いてきましたが、それでもこの映画、観終わって明るく爽やかな余韻も残ります。理由はふたつあって、ひとつは、エンドクレジットが楽しげな雰囲気に演出されていること。もうひとつ、これが大きいのですが、ラスト2シーンにおける主人公たちの表情がどちらかというと明るめであること。
 エリと影田が別れてそれぞれ独りになったあと、2人とも最終的には、微妙に笑顔に近い表情になるのです。悲しいけれど、淋しいけれど、これでよかったんだ、よかったと思わなくちゃ‥‥というような。特に影田はエリが去った後、ある行為をするのですが、それが終わった時、嬉しくもあり哀しくもあるというような複雑な表情を見せます。その顔がとてもいい。池島氏、好演です。
プロフィール

サイボク

Author:サイボク
60年代後半生まれの♀。
東京在住。
twitter.com/saiboku_ya

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