『グラン・トリノ』

2008年 アメリカ 監督・出演:クリント・イーストウッド 脚本:ニック・シェンク 出演:ビー・バン、アーニー・ハー、クリストファー・カーリー
全国各地で上映中  公式サイト→http://wwws.warnerbros.co.jp/grantorino/#/top

 10日ほど前に某シネコンにて鑑賞。この映画に関しては、既にたくさんの方たちが批評や感想を書いてらっしゃるようなので、今さら私が書く必要は無いのでは‥と思っていたのですが、例の湿疹も病院を変えてから少しずつ落ち着いてきたことだし、気を取り直して、ちょっとだけ書いておきます。
 とにかくこの映画、広く色んな方々に観てほしいです。描かれている内容が、今の時代にとても重要なことだと思うので。そしてそういう重い内容を描きながら、作品自体はかなり軽やかで、クスッと笑える場面も多く、ラストにはオリジナルの主題歌が流れる「ザ・娯楽映画」として仕上がっている点も、観どころではないかと。

 さて上記の「ザ・娯楽映画」という言葉には、「分かりやすい(難解ではない)映画」という意味も込めました。実際、そういう映画なのです。といっても構成や演出は、平凡(ありきたり)ではありません。奇をてらったところは無いのに、どこか非凡な感触があるのです。  
 
 それには色々な要素が関係していると思いますが、私が特に気になったのは、「過去をひきずっている人物が主人公でありながら、回想シーンが全く無い」ということ。イーストウッド演じる主人公・コワルスキーは、朝鮮戦争での自分の行いに深い罪悪感を抱きつづけ、フォードの熟練工として活躍した日々を懐かしみ、亡くなった妻を恋しがり‥‥と、常に過去を思いながら生きている老人。普通こういう人物が主人公の場合、彼の過去を描いた回想シーンが登場しがちですが、全くそうなっていないのです。

 回想シーンというのは、えてして感傷的な雰囲気を作品にもたらすことが多く、もちろんそれが効果を上げる場合もあるのですが、作り手側は今回、あえて感傷を抑制したのかもしれません。結果として、作品自体もコワルスキーの人物像も、かなり理知的なものになっています。そして何よりも、この映画の肝であるコワルスキーの最後の行動は、感傷や感情を超えた理知の力としてスクリーンに映し出されています。
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サイボク

Author:サイボク
60年代後半生まれの♀。
東京在住。
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