時折あの船を思い出す

 色々あって、しばらく更新できませんでした。久しぶりなので、映画について長めの文章を書きたいところなのですが、微熱があってダルいので、季節ネタをちょっとだけ。

 ときどき書いているように私は愛媛の出身で、京都に親戚がおりまして。子供の頃、夏休みや春休みの旅行というと、その親戚の家へ行くことが多かったです。どうやって行くかというと、船。もちろん船だけでは辿り着けませんが、メインはいつも船。具体的には、夜に松山港で大型フェリーに乗って船内で一泊、つまり一晩かけて瀬戸内海を渡り、朝に神戸の港へ着くわけです。

 その船内でかなりの面積を占めていたのは、運賃の安い二等船室。私はもっぱら、この二等船室を利用していました。広い室内にカーペットが敷きつめてあり、そこで大勢の知らない人たちと一緒に、雑魚寝状態で宿泊。
 席(場所)は自由席制というか、自分で選べたのですが、いつも混んでいたので、とにかく空いている場所を探したものです。枕と毛布は船で貸してくれました。ただこの枕が、硬くて小さくて角ばっていて、あまり枕っぽくない。
 船から降りてしばらくは、波に揺られる感覚が体に残っていました。しかも寝不足気味なので、神戸ではまだ体がグラグラしていて、電車で京都に着く頃にやっと回復している、という具合。

 私自身はもう長い間、そういう船旅はしていないのですが、身内の話によると、瀬戸大橋ができてかなり経った現在でも、大型フェリーはけっこう生き残っていて、二等船室の利用者も多いとか。あまり快適でないとはいえ、やはり安さは魅力なのでしょう。ただ、昔ほど混んではいないそうです。
 それもそのはず、実は私が子供の頃、この手の船は(おそらく)定員オーバーの状態で航行していました。雑魚寝式の船室がギュウギュウ詰め‥というだけでなく、そこに入り切らない人が通路で寝ていたり。実際、私の身内には、「階段の踊り場で寝た」「甲板で寝た」という経験の持ち主もいます。まあ昔はそのへん大らかというか、いい加減でしたからねえ。今なら安全面の問題などで、許されないでしょう。
 
 なお現在、二等船室は指定席制になっているそうで、壁に番号が書いてあり、自分のチケットに記された番号のところで寝る‥というシステムなのだとか。枕なども、昔よりはだいぶ良くなっているようです。
 (ちなみに昔も今も、船内の構造やシステムは船によって微妙に違うので、ここに書いてあることが当てはまらない場合もあります。ご了承ください。また現在は、大型フェリーの「神戸⇔松山」航路は無くなってしまったようです。「大阪⇔松山」はアリ。)

 ところで、さっきふと思ったんですが。この手の船を舞台にした邦画って、ありましたっけ? あったかもしれないけど、そう幾つもは無いですよね。船内での一晩を切り取ったストーリーで、短めの面白い映画が作れそうな気もします。
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サイボク

Author:サイボク
60年代後半生まれの♀。
東京在住。
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