『アバター』

2009年 アメリカ 監督・脚本:ジェームズ・キャメロン 出演:サム・ワーシントン、ゾーイ・サルダナ、シガーニー・ウィーバー、スティーブン・ラング、ミシェル・ロドリゲス
全国各地で上映中  公式サイト→http://movies.foxjapan.com/avatar/

 今月の初め頃に、3D版(IMAXではない)を鑑賞。正直言って、作品自体はあまり「頭にこびりつく」という感じではなかったので、最初は記事にしないつもりだったのですが、どうやら「この映画を観て考えさせられたこと」の方は、少々こびりついているようなので、それについて書いておきます。

 結局、3Dなどの最新技術がどうこうという以前に、基本的な演出技術は大事だな、と。キャメロン監督はやはり、見せ方が巧いです。特に戦闘シーン。
 いつの頃からか、戦闘シーンやアクション・シーンで、やたらカチャカチャカチャカチャ小刻みにカットを切りかえて(何が映っているのかよく見えない)、それでスリルや迫力を演出したつもりになっている映画が増えましたけど、『アバター』はそういうのとは対照的。人や戦闘機などの位置関係、距離感、誰がどう攻撃している(されている)のか、などをきちんと見せたうえで、スリルや迫力も充分に醸し出しています。
 そういう基本的なことが出来ているからこそ、3Dも効いてくるわけで。

 この作品のヒットによって、今後いろんな「SFものの3D映画」が作られるんでしょうけど、戦闘シーンでカチャカチャ式の演出しかできないような監督の3D映画は、観たくないなあ。目や頭が痛くなるだけで、面白くないと思う。

 あ、設定やストーリーに触れてないですね。少し書いておきましょう。簡単に言うと‥‥地球人に似た“ナヴィ”が住む惑星パンドラには貴重な鉱物資源があり、その資源を得るため地球人がナヴィを支配しようとするがうまくいかず、やがて戦いになり‥‥というもの。
 ちなみに、既にいろいろな方が指摘している通り、いくつかの要素には、押井守からの影響が感じられます。例えば、地球人が自分たちとナヴィのDNAを合成してアバター(分身)を作り、そのアバターに意識を転送して操作するあたりや、ナヴィと動植物のネットワークに関する設定は、押井監督の『攻殻機動隊』や『イノセンス』を連想させます。
 まあキャメロン監督は昔から、押井作品が好きだと公言していたので、今回それがストレートに作品に出た感じですね。

 余談ですが‥‥押井作品というと、その独特なテーマや台詞について語られることが多く、たしかにそこも重要なんですけど、実際にはキャメロン作品と同じく、戦闘シーンやアクション・シーンの演出が優れている、と私は常々思っています。や、その手のシーンに限らず、全体的に構図や動きの見せ方が巧い(『イノセンス』のオープニング映像なんてホントに素晴らしいし)。
 やはり映画監督というのは、最新技術に詳しいとかテーマの選び方がどうとかいう以前に、まず基本的な演出力を持っていることが大事ですよね。当たり前ですけど。

※追記‥‥この文章、ちょっと説明不足なので補足記事を書きました。こちらもどうぞ。
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サイボク

Author:サイボク
60年代後半生まれの♀。
東京在住。
twitter.com/saiboku_ya

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