『狂った舞踏会』

1989年 日本 監督:佐藤寿保 脚本:夢野史郎 出演:伊藤猛、隈井士門、伊藤清美

 少し前に友人が「中古で安く手に入ったから」と、DVDをプレゼントしてくれました。それがこの作品です。ジャンルとしては、ホモ映画です。薔薇族映画、ゲイ・フィルムなど色んな言い方がありますね。最近は、(おそらく女性向けに)ボーイズラブという呼称を使う場合も多いようで。実際、DVDのレーベル名は「BOYS LOVE JAPAN」です。
 監督は、ゲイ・フィルム以外のいわゆる一般的なピンク映画でも活躍してきた佐藤寿保。さらに助監督は、先日取り上げた『坊さんが屁こいた』の監督、瀬々敬久。そんなわけでこの作品、マニアックな邦画好きの間ではかなり有名なようです。

 ボディビル雑誌の編集をしている男が、「肉体美博覧会」というイベントでモデルの青年と出会い、2人はすぐに愛し合うようになります。しかしやがて青年はサディスティックに男を攻撃しはじめ、耐えられなくなった男は、青年の片腕を切り落としてしまいます。月日が流れ出所した男は、ホルマリン漬けにした青年の片腕を抱きながら、彼の行方を探すのですが‥‥。
 
 イベント会場で、男は青年に一目惚れします。彼のどこに惚れたのかというと、顔や雰囲気ではありません。筋肉の美しさに惚れたのです。付き合い始めてからも、男は青年の過去や物の考え方などには一切興味が無いようです。とにかく体・体・体! 君の筋肉が好きなんだー! という感じ。クライマックス・シーンまで青年役の俳優にセリフが無いのも、男のそういう心理を表現するための演出なのでしょう。 
 まあ、ちょっとついていけないというか、理解しがたい部分もある恋愛です。しかしクライマックス・シーンで、青年の筋肉美に秘められた重い過去が明かされ、男は驚くべき行動に出ます(詳述は避けますが、非常に凄絶な自傷行為)。これを見てしまうと、「こういう愛の形もアリなのかな‥」と、妙に納得させられてしまいます。
 
 ちなみにこの映画、パゾリーニにオマージュを捧げた作品です。ご存知の方も多いと思いますが、彼はイタリアのゲイの映画監督。
 まず設定として、「男が青年の腕を切り落とした日にパゾリーニが死んだ」ということになっています(パゾリーニは1975年、53歳のときに17歳の少年に殺害されました)。また「男が、服役中に公開されたパゾリーニの遺作『ソドムの市』を観たがって、イタリアの友人にビデオを送ってもらう」というエピソードも登場。さらに、青年の筋肉美に秘められた過去は、パゾリーニの『テオレマ』と関係があります。

 そんなわけで、この映画はかなりシリアスな作品なのですが、実は私、あるシーンでツッコミを入れながら笑ってしまいました。あ、念のために書き添えておきますが、男同士のラブシーンを見て笑ったわけではないですよ。私は子供の頃から少女マンガなどで、ゲイを描いたシリアスな作品に接していますから、そういうシーンを可笑しいとは思わないし、照れ笑いも起きません。
 じゃあどこが、どういう風に笑いのツボにハマったのか。それを以下に記しておきます。
 
 問題は、仮面舞踏会のシーン。まずその少し前のシーンで、男に招待状が来て、それに「仮面舞踏会」と明記してあるんですよ。だから私、てっきり仮面をかぶるのかと思っていたんですけど、会場の入り口で受け付けの人が、「ストッキングをおかぶりください」と言うんです。
 てゆうか、その人自身、既にストッキングをかぶってるんですけどね。で、男も頭にストッキングをかぶるわけです(あとで招待状のシーンを見直すと、ちゃんとそのストッキングが同封されていました‥‥)。
 
 そして会場に入ると、中にいる人たち皆、頭にストッキングをかぶってるんです。思わず「昔の銀行強盗かよ!」と心の中でツッコミを入れてしまいました。あと、「これじゃあ仮面舞踏会じゃなくて覆面舞踏会だよ!」というツッコミも可。
 しかもですね、そのストッキングというのが、ガーターで留めるやつじゃなくて、いわゆるパンストなんです。つまり、パンストの「パン」の部分を頭にかぶって、「スト」の部分は下に垂らしているんです。その状態で、まあ舞踏会ですから社交ダンスみたいなのを踊るわけですよ。すると、「スト」の部分が長いお下げ髪みたいにブラ~ン、ブラ~ンと揺れて‥‥すごいマヌケ‥‥。
 
 このシーンは、男と青年がやっと再会して真剣なやり取りを交わすクライマックス・シーン。それなのに、何故パンストなんでしょうか。ご存知の方がいたら教えてください~。
プロフィール

サイボク

Author:サイボク
60年代後半生まれの♀。
東京在住。
twitter.com/saiboku_ya

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