『川の字』

(成人映画館での公開タイトルは『潮吹き花嫁の性白書』)
2010年 日本 監督:竹洞哲也 脚本:小松公典、山口大輔 出演:かすみ果穂、倖田李梨、毘舎利敬、岩谷健司、久保田泰也、LUNA、佐藤玄樹
8月27日、上野オークラ&横浜光音座2にて公開

※公開前の作品なので、ネタバレにはかなり気を付けて書いたのですが、ある意味、少しはバレてしまっています。ご了承ください。

 10日ほど前に、新・上野オークラの女性限定イベントにて鑑賞。仲の良い両親のもとで育った若い女性が、恋人との関係に悩みながらも、やがて‥‥というような内容。一応。
 
 この作品、チラシなどでよく「温かい映画」と紹介されていて、確かにそういう面もあるのですが、私にとってはかなり「厳しい映画」です。厳しいことを言っている映画。そういえば以前、同じ竹洞監督の『たぶん』についても、ちょっと似たようなことを書いたなあ
 つまり『たぶん』も『川の字』も、チョコレートでコーティングしたゴ―ヤみたいなんですよ。や、そんな食べ物は無いんでしょうけど、要するに、外側は甘いのに中身は苦い、ということ。そしてこの『川の字』のほうが、より苦味が強い。

 まず、ヒロインの置かれた状況が、実は過酷。彼女はかつて何者かにレイプされたのですが、それだけでなく、他にも非常に辛い経験をしていて。「こんなに色んなことを背負っていると、人によっては精神に異常をきたすのでは?」と思うほど。
 さらに、もうひとりのある登場人物も、とても辛い経験をしています。ちなみにこれらの「辛い経験」は、作品の終盤で明かされる要素なので、ここには書けません。

 そう、この映画では、複数の登場人物のかなり重要な部分が、終盤まで伏せてあるのです(匂わせるような描写はありますが)。そして、いわゆる「意外な事実」として明かされ、観客としては「え、そうだったのか」と思うわけで。
 さて、ここで「え、そうだったのか」と思うのは、もちろん作劇として意図的に伏せられていたからなのですが、それだけでなく、その人物たちがけっこう明るい、ということも関係あると思います。とにかく、いかにも「悲しみを背負ってます!」とか「辛さに耐えてます!」とか、そういう感じがほとんど無いんですよ。例えばヒロインの場合、レイプによる精神的後遺症は多少あるものの、彼女が抱えていることの全体的な重さの割には、背筋が伸びているというか。

 この「背筋が伸びている」感じが、個人的には印象深いです。最初に書いた「厳しい」というのも、このこと。人に対して厳しい、というか。「辛くても、どうにかしなけりゃ、どうにもならないんだよ」と映画が言っているような。
 まあ、もしかしたら、その人物たちが明るかったり背筋が伸びていたりするのも、「意外な事実」をより意外に見せるための作劇なのかもしれませんが‥‥って、多分そんなことは無い。それだけではない。作り手の人生観の表れ、という側面もやはりあると思います。

 では、作り手の1人である脚本家・小松氏によるこの映画の誕生秘話を、どうぞ→http://blog.goo.ne.jp/konde-koman/e/3a2f3f2e4d76434dcc0f31333d9f8420
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サイボク

Author:サイボク
60年代後半生まれの♀。
東京在住。
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