『美人姉妹で姉は先生』

成人館での公開題:『美脚教師 開いて悶絶』
2010年 日本 監督・脚本:友松直之 出演:横山美雪、しじみ、石井亮、堀本能礼、なかみつせいじ、原口大輔、山口真里
【現在、新宿国際劇場で上映中(10月20日まで)。その他、全国の成人館で順次上映中】

 
 3週間ほど前に、上野オークラ劇場にて鑑賞(個人的な諸事情により、アップするのが遅くなってしまいました)。
 ところで私は、このブログでピンク映画について書くとき、原題(脚本段階での題名)が分かる場合は、公開題ではなく原題をメインタイトルとして書くようにしています。この選択はやや邪道なので、良くないような気もするのですが、公開題というのは、どうも作品の内容とズレているものが多く、その点で違和感や脱力感を禁じえないというか。
 今回も、実際に作品を観てみると、公開題からは想像しづらい「姉妹モノ」でした。

 パソコン教室の講師・淑子(横山美雪)は、恋人の弘志(石井亮)との仲もまあまあ順調で、平穏な日々を送っている。しかしある時から、教室の生徒・沙織(しじみ)が、奔放な態度で淑子の私生活に乱入。実は淑子と沙織は昔、義理の姉妹として過ごした時期があった。それを思い出した淑子は、沙織を受け入れる。
 沙織はタレント志望で、以前パソコン教室の取材に来ていたプロダクションの社長・辻(堀本能礼)に会いに行く。辻にノセられ、コスプレ姿で撮影に応じる沙織。気がつくとヌードに近い状態になっていて、辻にレイプされそうになり逃げ出す。
 その日の夜、淑子の部屋で2人きりになった沙織と弘志は、関係を持つ。帰宅した淑子は、ベッドにいる2人を見て激怒。そういう淑子自身も、教室の熟年生徒・山田(なかみつせいじ)とかなりのところまでイッていたのだが、沙織への怒りは収まらず、こう叫んでしまう。「あたしたちが今度会うのは、どっちかの葬式の時よ!」。すると本当に、その通りになってしまい‥‥。

※以下の文章では、作品の結末部分について、かなり詳しく書いています。

 
 要するに沙織が急死し、その後は死んだはずの沙織が淑子の前に現れ、幽霊ファンタジーのような展開に。そしてラスト、淑子と沙織と弘志による3P(?)のあと、沙織は消え、淑子は弘志に向かって宣言します。沙織は私のここ(子宮)に入った、私はやがて女の子を産む、名前はサオリ、私はその子を溺愛し、その子には私のことを「お姉さん」と呼ばせる‥‥と。
 この部分を観て、夏に公開された某ピンク映画(加藤・城定コンビ作)のラストを連想した人は多いでしょう。私もそのひとり。オチとしては、よく似ているんですよね。しかし! オチ自体は似ていても、意味としてはかなり違うような気がします。

 なぜなら某映画のほうは、最初の基本的な設定からしてバリバリのファンタジー作品なので、ラストで示される転生(生まれ変わり)という概念も、作品世界の中では「実際に起こり得ること」として存在するわけですが。この『美人姉妹~』は、(終盤にファンタジックな味付けがあるとはいえ)あくまでも現実的な設定を基本とした作品なので、その中で転生という概念は、「かなり現実離れしたこと」として存在します。
 つまりラストでの淑子は、「かなり現実離れしたこと」を堂々と真面目に宣言しているわけで。きつい言い方をすれば、彼女は妄執に囚われている。少なくとも私は、そのように受け取りました。

 で、そうなると、「沙織の幽霊」らしきものも、おそらく淑子の妄想。だから淑子と「沙織の幽霊」らしきものの交流は、すべて淑子の願望。沙織とこんな話をしたかった、一緒にこんなことをしてみたかった‥‥という。
 しかしそもそも、沙織のほうはどんな気持ちで死んでいったのか。もしかしたら、淑子の「葬式云々」という発言に絶望したまま、死んでいったのかもしれません。実際、淑子の沙織に対する最後の態度は、その発言も含め、かなり自分勝手な部分が多かったのだし。
 こうなると、片思いですな。姉の、妹に対する片思い。しかも、永遠の。


 最後に念のために書き添えておきますが、この映画、非常にコミカルかつ軽やかなタッチの作品です。じゃあ何でこんな湿っぽい文章になるのかって? や、こういう(湿っぽい)解釈もできるんですよ~。 
 『絶対痴女 奥出し調教』もそうでしたが、友松監督の作品は、複数の解釈が成り立つように作ってある場合が多いみたいで。この『美人姉妹~』に関しても、色んな方の批評・感想を読み比べてみると、面白いと思いますよ。そうするうちに未見の方は、きっと観たくなるでしょう。
プロフィール

サイボク

Author:サイボク
60年代後半生まれの♀。
東京在住。
twitter.com/saiboku_ya

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