『痴漢電車 さわってビックリ!』

2001年 監督:榎本敏郎 脚本:河本晃 出演:川瀬陽太、麻田真夕、葉月螢、佐野和宏、小林節彦、十日一秀悦、鈴木敦子、あ子 ほか
(『痴漢電車 さわってビックリ!』は、成人映画館での封切時のタイトル。シナリオタイトルは、『耳を澄ます夏』。また現時点での成人館での上映タイトルは、『熱い吐息 股間のよだれ』。)
最近、曽根中生監督が亡くなってしまったり、新橋ロマンが閉館してしまったり。そのあたりのことも色々と書きたいのですが、今回は、この13年前に作られたピンク映画について。
なぜかというと、少し前に、ドロップさんがこの映画を激賞しているのを読んで、そしたら久しぶりに観直したくなって、観たら書きたく(描きたく)なった、というわけです。
私のこの映画との出会いは、たしか10年くらい前。知り合いの方が、複数のピンク映画やロマンポルノを(おそらく)CSで録画したテープをくれて、その中に入っていたんですね。
観てみると、とてもいい作品だし、なにしろ佐野和宏が猛烈にカッコいいので、いつかちゃんとスクリーンで観たいな~と思っていたら、数年後にその機会があって、さらにまた数年後にもスクリーンで再会。
そんなわけで、観るのは多分これで4回目。そして今回は、劣化したテープでの鑑賞。画質がよろしくないので、スクリーンで観た時の印象を思い出しながら‥という妙な状況。
しかし! それでも! 面白かった。ほんと、細かいところまで丁寧に工夫して作ってあるなあ。
たとえば、電車でスリをしているアスカ(麻田真夕)が、その仕事(?)を無理やり手伝わせているユウジ(川瀬陽太)に対し、ある何気ない台詞を全編にわたって何度も言うのですが。
いちばん最後に言った時だけ、それまでとは違った切ない思いが濃厚に込められていて、グッと胸に迫ってきたり。
あと、ドロップさんが書いていた、中年スリ役の佐野和宏が川瀬陽太のポケットにハーモニカをねじ込むところも、もちろんイイのですが。
その直後、手前に川瀬氏、奥に小さく佐野氏‥という図になった時、よく見ると、奥の佐野氏がけっこう細かい芝居をしていて、その足の動きが面白い。
とにかく、よくできたラブコメ。明るくて軽快、爽快。
ピンク初心者の方でも、観やすい作品だと思います(DMMで配信されてますよ)。
そして今回のイラストは、主演の川瀬陽太。
彼に関しては、以前記事を書いたことがあるのですが、それにひとつ付け足しておくと。
彼を若い頃からずっと(映画の中で)観ていて思うのは、5年くらい前に顔つきや雰囲気が変わったな、ということ。
それまでは、ずっと青年っぽいというか、実年齢より若く見える状態が続いていた(と思う)のですが、5年くらい前、ちょうど彼自身が40代に差しかかった頃から、歳相応の渋さとか(良い意味での)オッサンらしさが出てきたなあ、と。
もちろん、この『さわってビックリ!』の時の彼は、まだまだ青年っぽい。
そして役柄は、かなりマヌケでいつもジタバタしていて‥‥。でも終盤に、ある決断をした時、少しキリッとした顔になります。その顔を、描いてみました。