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『菊とギロチン』

         十勝川

2018年  監督・脚本:瀬々敬久  脚本:相澤虎之助  出演:木竜麻生、韓英恵、東出昌大、寛一郎、嘉門洋子、大西礼芳、渋川清彦、荒巻全紀、山中崇、井浦新、大西信満、篠原篤、菅田俊、嶋田久作、宇野祥平、川瀬陽太 ほか多数 
テアトル新宿ほか全国順次公開中
公式サイト→http://kiku-guillo.com/


ちょうど1週間前に観たのですが、今でも何かの拍子に、色んな場面が頭に浮かびます。
つまり、魅了された、ということでしょう。

さてこの映画、かなり前に企画が発表された段階では、メインタイトル『菊とギロチン』に加え、『女相撲とアナキスト』というサブタイトルが付いていたような。
まさにその通りの内容で、大正末期、関東大震災の直後、女相撲の一座「玉岩興行」の力士たちと、アナキスト(無政府主義者)グループ「ギロチン社」の青年たちが出会い、心を通わせ、それぞれの闘いに挑んでいくお話し。

なお、女相撲の興行自体はかつて実在しましたが、「玉岩興行」やその力士たちは架空の存在。
また、女力士とアナキストが交流していたという歴史的事実は、ありません。
しかし、「ギロチン社」とそのメンバーは実在した団体・人物だし、彼らが関わりを持つ大杉栄や正力松太郎らは、もちろん実在の著名人。

つまりこの映画、実在の人物や出来事に虚構をぶつけて、そこで起きる化学反応や爆発を描いているわけで、いわば歴史ファンタジー。
大勢の人物が登場し、多彩な人間模様を織りなすので、群像劇でもあります。
また、女優さんたちが相撲の稽古を積み、迫力の相撲シーンを見せてくれるので、アクション映画的な側面もあります。

そして、それらのオモシロ要素と、シリアスな社会的要素がうまく融合。
近年の韓国映画によく見られるような、社会派娯楽映画になっています。

社会的要素を強く担っている登場人物は、ちょっといい加減なアナキストたちよりも、むしろ力士の十勝川たまえ(韓英恵)。
十勝川は在日朝鮮人で、関東大震災時の日本人による朝鮮人虐殺の現場から、必死で逃げてきた過去があり。
それでも彼女は、日本人であるギロチン社のリーダー中濱鐵(東出昌大)と、恋に落ちます。

さらに、十勝川を差別し虐待する、在郷軍人会の飯岡(大西信満)。
彼もまた弱者であり(貧農の出で戦時に辛酸をなめた)、「弱者が、自分より更に弱い立場の者を傷つける」という、おそらく世界中で繰り返されてきた(今も続いている)現象を、象徴するような人物です。

ところで、十勝川役の韓英恵は、この役に「キャスティングされた」というよりも、自ら熱望して役を得たとのこと。
彼女は、なぜこの役をどうしても演じたかったのか、なぜ見事に演じることができたのか。
理由は色々あると思いますが、そのうちのいくつかが、このインタビューを読むと分かります。
http://social-trend.jp/44965/
彼女のご両親のこと、ひいおじい様のこと。
写真も美しくて良いインタビュー記事なので、ぜひお読みください。

そして私は、これまで『ピストルオペラ』『蜜のあわれ』などの映画で韓さんを観てきましたが、今作の彼女は特に素晴らしいと思いまして、ぜひ彼女を描きたい、で、上に載せたようなイラストになりました。

最後に、瀬々敬久監督について。
私は瀬々監督の作品は、ピンク映画を10本くらい観たものの、一般映画はあまり観てないので、未だにピンク時代の印象が強くて。
その印象とは、「面白いし、風景の撮り方(選び方)が凄くいいんだけど、観念的すぎてやや分かりにくい」。

そういう先入観を抱えて『菊とギロチン』を観たので、「わ、分かりやすい!」と驚きました。
本当に今回、分かりやすいし観やすい、そして明るい。
でも、暴力や死にまつわる場面(特に終盤の勝虎と三治の…)では、ピンク時代の不穏で冷ややかな空気が漂っていて、その明るさと冷たさの混ざり具合が興味深いです。

この映画に関しては、まだまだ語りたいことが沢山あって。
例えば、自主制作なのに美術がかなり豪華というかしっかりしている(やはり大ベテランの馬場正男氏の存在が大きいのでしょうね)、とか。
ツイッターにもチラッと書いたように、音楽が打楽器主体でジャンベやサムルノリも入っていて面白い、とか。
色々あるのですが、ひとまず、このへんで。
プロフィール

サイボク

Author:サイボク
60年代後半生まれの♀。
東京在住。
twitter.com/saiboku_ya

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