三浦友和と榎戸耕史監督

 先日、シネマヴェーラでものすごく久しぶりに『台風クラブ』(1985)を鑑賞。いろいろなことを感じそして考えたので、ぜひ近日中にそれらを書いてアップしたいと思います。
 
 ひとつだけ先に書いておくと、この映画の三浦友和はやはり見応えあります! 当時、それまでカッコいい二枚目役の多かった彼が突然、口が悪くてダラ~っとした中学教師を見事に演じて話題になったわけですが、現在の彼の幅広い活躍ぶりを知ったうえで観ると、改めて「『台風クラブ』は役者・三浦友和の転機だったのだ」と強く感じられます。
 
 そもそもこの中学教師役、人物造形がとても味わい深いのです。授業中、生徒に対して数々の暴言を吐いているところに突如として恋人の母親と叔父が現れ、「娘に大金を貢がせた」だの「いつになったら結婚してくれるんだ」だのと、すごい剣幕で詰め寄られる彼。この時点では、いかにもいい加減で嫌な男風。
 しかしその後の展開で徐々に、実は恋人もなかなかに悪質で母親や叔父も胡散臭いということが明らかになってきます。要するにこの教師、いかにも他人を支配しそうに見えて、実は怪しげな人々に支配されようとしているのです。中途半端なワルなんてしょせん本格的なワルにとっては格好の餌食なのかもしれない、そんな浮き世の機微を象徴するかのごとき人物。
 この微妙な役を柔軟に演じた三浦氏の実力とともに、彼の意外な面を引き出した相米慎二監督の慧眼にも改めて感服しました。
 
 で、観た当日、上記のようなことを思いながら帰宅して夕刊を眺めていると、偶然にも三浦友和のインタビュー記事が載っていました。しかもその中に「『台風クラブ』が、役者としての転機になった」という言葉が。やはりご本人もそういう認識なのですね。そしてさらに彼は単発の新作主演ドラマについて語っているのですが、なんとそのドラマの監督が榎戸耕史とのこと。
 
 榎戸氏は相米監督の助監督を何度も務め、『台風クラブ』のときはチーフ助監督だったので、つまり、かつてスタッフとして三浦氏の転機に深く関わった人物が、今やベテラン俳優となった彼の主演作を撮ったわけです。榎戸監督といえば、『ありふれた愛に関する調査』(1992)で世良公則からいい味を引き出していたのが個人的に印象深いので、「男優の演出がうまい」というイメージもあり、普段TVドラマをあまり観ない私もこのドラマは録画して鑑賞する予定。
 放送は来週の水曜日(20日)、タイトルは「松本清張 特別企画 『不在宴会 死亡記事の女』」。詳しくは、こちらのサイトをどうぞ→http://www.tv-tokyo.co.jp/mystery9/

 この番組公式サイトで知ってちょっと感慨深かったのは、脚本が西岡琢也だということ。彼はいつの頃からかTVの世界で活躍するようになりましたが、昔は映画の脚本をよく書いていましたよね。『ガキ帝国』(1981)、『TATTOO<刺青>あり』(1982)、『丑三つの村』(1983)、『人魚伝説』(1984)などなど。相米監督の『ションベン・ライダー』(1983)の脚本にも参加していました。この映画の助監督も榎戸氏です。
プロフィール

サイボク

Author:サイボク
60年代後半生まれの♀。
東京在住。
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