『魔悪子が来る!』

2008年 日本 監督・脚本:井口昇 出演:ENBUゼミナール映像俳優【昼】コース生徒

 先週、観てきました。ちなみに当日、会場に行く前に某カフェで時間を潰していたところ、井口監督が入ってこられて私の近くの席に座られたので、ビックリ。監督はすぐにノートパソコンを開いて何か作業を始められたので、店内で声をかけるのは遠慮しましたが、店から会場へ向かう途中、歩きながら少しお話をさせていただきました。
 
 実は2つ前の記事で紹介した知人が、深夜ドラマ『栞と紙魚子の怪奇事件簿』の第12話(井口監督が演出を担当)に出演していたので、そのことをお伝えしたところ、撮影の裏話などを語ってくださいました(ありがとうございました)。
 なお『栞と紙魚子~』は、文字リンク先のサイトで全編動画配信されていますので、未見で興味のある方は是非そちらでご覧になってください。

 では『魔悪子が来る!』について。タイトルと主人公の設定は、往年のイジメられっ子復讐マンガ『魔太郎がくる!!』が元になっているのでしょう。魔太郎は黒マントの下に赤いバラの花模様のシャツを着ていて、魔悪子も黒マントの下に同様の服を着ています(バラかどうかハッキリとは確認できませんでしたが、赤っぽい派手な模様が入っていました)。
 
 魔悪子の過去は詳しくは描かれていませんが、おそらく男からさんざんバカにされたりイジメられたりしてきたのでしょう。男に恨みを持っていて、復讐心に燃えています。彼女は魔導師として、恋愛中の若い男女を次々に地獄へ突き落とし、女たちを操り、操られた女たちは男に噛みついたりオナラが止まらなくなったりします。「魔導師・恋愛・オナラ」というキーワードでお分かりの通り、ジャンルとしては恋愛ホラーコメディ。

 ところでこの記事の冒頭のデータ部分に、「出演:ENBUゼミナール映像俳優【昼】コース生徒」と書いたのは、出演者の個々の名前が分かるような資料が手元に無いからです(すいません)。ENBUゼミの公式サイトに主演の女性の名前だけは載っているのですが、1人だけ書くのも何か違うような気がするし。
 というのもこの映画、主演者だけでなく、20人ほど居る出演者全員に見せ場があるからです。しかもこれは結果としてそうなったわけではなく、監督が最初から明確に意図していたらしいです(「生徒全員の名刺代わりになる作品を目指した」と舞台挨拶でおっしゃっていました)。
 
 普通、そういう意図のもとに映画を作る場合、例えば「ある街で若い男女10組が織りなす恋愛群像劇」とかになりそうなものですが、いや、まあ、この『魔悪子が来る!』も恋愛群像劇ではあるのですが、そうであると同時に「オナラ満載のホラーコメディ」にもなっているところが、いかにも井口監督らしいです。

 そして確かに出演者全員の演技が堪能できるのですが、なかでもいちばん目立っているというか、出てきて少し喋っただけで場をさらうのが、魔悪子役の女性。彼女、なんというか非常に極端な棒読みの喋り方をするのです。他の出演者たちは、いわゆる「感情を込めた」喋り方をしているので、彼女だけが明らかに異質。
 これは、彼女が棒読みしかできないのか、あるいは演出でワザとそのようにさせられているのか。いずれにせよ面白いことには変わりないです。それにこういう極端な棒読みというのは不気味な雰囲気も醸し出すので、オモシロ不気味ということで、ホラーコメディのヒロインにふさわしい喋り方だと思います。
 
 また彼女は、ビジュアル的にもなかなか鮮烈。パッと見は地味な顔立ちで化粧っ気もなく、おまけに黒マントを羽織っていて若い女子的な華やかさとは無縁なのに、たまにマントをめくると派手な服がチラッと見え、そのギャップがたまりません。
 しかも服がノースリーブなので、ムキ出しになった二の腕も見えて、若干ですがエロいです。これって、「黒マントの下には乙女心が隠れているのよっ!」というメッセージなのでしょうか。私は勝手にそのように解釈しました。

 最後に。この映画、本当にやたらとオナラの描写が多いです。子供やオッサンではなく、年頃の娘さんたちがこんなにオナラをしまくる映画は、世界じゅう探しても他に無いと思います。あ、そういえば、この「世界じゅう‥‥と思います」という言い回しは、『おばあちゃんキス』について書いた時も使いましたねえ。
 
 「老婆のキス」とか「若い娘のオナラ」とか、普通の映画には登場しないような女性描写が、井口監督の映画には盛りだくさんです。彼はある意味、非常に濃厚に「女を描く」監督なのではないでしょうか。(念のために書いておきますが、この「女を描く」は、一般によく言われる「女を描く」とは微妙に意味が違いますよ)。
 やはり彼には、以前書いたように阿部定の人生(特に出所後)を映画化していただきたいです。独特なコメディになりますよ、きっと。

【なお同時上映の『春のネコ』(監督:冨樫森)も観ましたが、こちらは『魔悪子~』とは対照的なシンプルでカッチリまとまった短編、という感じでした。私は冨樫監督の『ごめん』という映画が大好きなので、いつかそちらについて詳しく書きたいと思っています。そういえば『ごめん』にも、「普通の映画には登場しないような」描写が出てきますよ。ただし女性ではなく男性に関する描写で。】
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サイボク

Author:サイボク
60年代後半生まれの♀。
東京在住。
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