『PEEP SHOW』

(成人館での公開タイトルは『人妻の秘密 覗き覗かれ』)
2004年 日本 監督:竹洞哲也 脚本:小松公典 出演:吉沢明歩、竹本泰志、沢賀名、華沢レモン、サーモン鮭山、風間今日子

 先週、ポレポレ東中野の「R18 LOVE CINEMA SHOWCASE Vol.5 人のデビュー作を笑うな」にて鑑賞。竹洞(たけほら)哲也監督のデビュー作です。
 昨年の7月に同じ劇場で竹洞監督の特集上映が催された際、行きたかったのに諸事情により観に行けず、先月になってやっと初の竹洞作品『再会迷宮』(2007)を観て、すっかり魅了された私。そんなわけでまだ2本しか観ていないものの、いや~、やっぱり個人的に要注目です、この監督と脚本家のコンビは。
 
 竹洞監督はデビュー以来ずっと脚本家の小松公典(こうすけ)と組んでいるのですが、この小松氏の感受性というかセンスみたいなものが、私にとっては非常に面白いのです。例えば、昨年の特集上映のブログに載っている彼の文章。私はこれを、遅ればせながら最近初めて読んで、爆笑&感心しました。
 ややマニアックなサブカルネタやくだらないダジャレを絶妙な間合いで散りばめつつ、映画製作の苦労を(苦労と感じさせないように)面白可笑しく語り、自身の主義主張もさりげなく提示するという、非常に高度な文章。パッと見にはフザけて適当に書いているように見えるかもしれませんが、こういう文章は相当の技術やセンスが無いと書けない、と私は思います。

 彼の脚本も(といっても脚本を読んでないので完成した映画を基準にしていますが)パッと見には、特に凄いとか凝っているというわけではありません。この『PEEP SHOW』も、「売れないレディコミ漫画家が、バイト先である清掃会社の同僚の覗き趣味に触発されて傑作を完成させる」という、ただそれだけの話。しかし流れがスムーズで後味が良く、また『再会迷宮』と同じくヒロインが現状を打破していく様子が生き生きと描かれていて、とても好感が持てます。
 
 そもそもピンク映画には決まり事が多く、例えば「15分に1回はセックス・シーンを入れる」とか、「(予算の関係で)出演女優は約3名」とか、そういう色々な条件を満たしていなければならないので、脚本を書くにあたって、滑らかなストーリーを作るだけでもかなり難しいはず。だからこそ、それをクリアした上でさらに娯楽映画としての魅力をしっかり生み出している小松氏の力量に敬服します。
 セックス・シーンのシチュエーションがバラエティに富んでいたり、お馴染みのサブカルネタ(今回はブルース・リーのジークンドー)がちゃっかり入っていたりと、芸が細かいところもいいですねえ。
  
 芸が細かいといえば、伏線の張り方。序盤で編集者がヒロインの作品を「パッションが無い」云々と酷評し、中盤でヒロインのネタ帳を見た同僚も、「パッションが~」と編集者と同じ言い回しで酷評。ここまでだったら単なる軽いギャグですが、さらに終盤である事実が明かされ、同僚が編集者と同じ発言をしたのにはそれなりの理由があったことが分かります。巧いなあ。

 何だか小松氏のことばかり書いていますが、これは今回の上映前に行われた、彼とサーモン氏とレモン嬢による舞台挨拶の印象が影響しているものと思われます。胸に巨大な「グワシ」マークがプリントされたTシャツ着用の小松氏が、自身のペンネームの変遷を語るにあたって「遠峯ありさ→華原朋美」を引き合いに出したので、もうホントにその手のネタが好きなんやなあ~と呆れながら笑ってしまいましたよ、わたくしは。
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サイボク

Author:サイボク
60年代後半生まれの♀。
東京在住。
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