『伊賀野カバ丸』

1983年 日本 監督・脚本:鈴木則文 脚本:志村正浩、長崎行男 出演:黒崎輝、真田広之、高木淳也、武田久美子、森永奈緒美、朝丘雪路、大葉健二、千葉真一

 2週間ほど前にシネマヴェーラにて鑑賞。亜月裕による同名の少女マンガの実写化。ちなみに私、この原作マンガは小学生のころ読んでいて、けっこう好きでした。
 ストーリーは、山奥で忍者として育てられたカバ丸(黒崎輝)が、東京の名門校・金玉(きんぎょく)学院に入学し、同級生の麻衣(武田久美子)や生徒会長の沈寝(真田広之)を巻き込んで騒動を繰り広げる‥‥というもの。
 
 実はかなり前にビデオで観ていたのですが、真田広之のヅラ&メイクが強烈すぎて他の要素に関する気憶が薄れていたので、感覚的には初見に近いです。そして今回、劇場で観直してつくづく思ったのは、この映画はデカい画面で観るべきだ、ということ。全編にわたって、生身の激しいアクションが満載なので。
 
 しかもそのアクションを、吹き替えのスタントマンではなく、メインの俳優たちが自分でこなしているのが特徴。黒崎輝・真田広之・高木淳也・大葉健二など、当時のJACを代表する俳優陣が、きちんと役柄を演じながら高度なアクションに挑んでいます。
 特に凄いのは大葉氏。「一見コワモテなのにオネエ言葉で喋る番長」という不思議なキャラになりきったうえで、クライマックスのカーロデオのシーンでは、車ごと海へダイブしつつ運転席から脱出するという、危険なアクションを見事に成し遂げています。また黒崎氏はお調子者の役なので、おどけた表情や仕草をずっと演じているわけですが、それをやりつつ高所から飛び降りるなど、人間離れしたパフォーマンスを次々に披露。もちろん真田氏や高木氏も、それぞれ見せ場があってカッコいいです。
 
 あ、「カッコいい」と書きましたが、真田氏のヘアメイクは別ですよ。彼の場合、殺陣などのアクションは当然カッコいいものの、ヅラ&メイクはやっぱり変。なにしろ腰まで届きそうな長髪のヅラを装着し、必要以上に白いファンデーションを塗ってますから。眉毛も凄い。自毛を剃って(塗りつぶして?)線みたいに細い眉を描いてます。
 これ、マンガをそのまま実写化することに拘りを持っている則文監督からの命令だったのか、真田氏自身の意欲的な役作りだったのかは不明ですが、確実にやり過ぎ。「女生徒たちの憧れの的」という役柄でありながら、完全に不気味キャラになってます。面白いから、個人的には好きですけど。

 ところでこの映画、人気少女マンガの実写化であるとともに、JACの若手3人組(黒崎・真田・高木)をアイドルグループ的に売り出すための企画でもあったのでしょう。主題歌『青春まるかじり』を、彼ら3人で歌っています。しかも作詞は阿久悠。「♪イート・ザ・青春!」というサビの歌詞が、タイトルの中途半端な英訳になっていてイイですね。
 
 そして一緒に「♪青春!」と歌っていた彼ら、その後は完全に別々の道を歩んでいます。
 真田氏はずっと俳優を続けていますが、黒崎氏は若いうちに芸能界を去り、沖縄でダイビングのインストラクターに転身。ずいぶん前にテレビで、彼の引退後の生活を紹介する映像を観ました。現在も沖縄で活躍中のようです。そして高木氏。彼も引退しましたが、裏社会を取材するジャーナリストなどさまざまな仕事をしつつ、近年は徐々に俳優業に復帰している模様。
 そういえば高木氏は以前某サイトで、JACを辞めた理由として内部事情を暴露しておりました。彼の場合、ドラマや映画でメインの役を演じている時でも給料が激安だったり、いろいろあったそうで‥‥。
 とまあ、これらの情報を知ったうえで今回改めて観たので、いろんな意味で感慨深かったです。千葉真一が、カバ丸と疾風(高木氏の役名)をしごきまくるスパルタ師匠の役で出ていたので、尚更。

 だんだん話がズレましたが、とにかくこの『伊賀野カバ丸』は「JACの映画」だと思います。たしかに則文監督らしいセンスが随所で光っているものの、それよりも更にJACの存在が前面に出ているというか。監督が、「彼らのアクションを面白く見せること」にとても力を入れているような気がするのです。
 
 例えばオープニングのタイトルバック映像。山奥から出てきたカバ丸が金玉学院にたどり着くまでの道中の様子を、「ローラースケートでジャンプして車を跳び越す」などさまざまなアクションを織り交ぜて描き、黒崎氏の快活さと運動神経の良さを数分間で上手く紹介しています。
 冒頭部分にこういう映像があると、「この先もっと凄いアクションが出てくるかも!」と観客の期待は膨らみますよね。そして全編を通じて、その期待に応えているわけです。

 最後に余談ですが、「JAC」と何度も書いているうちに、ある映画のことを思い出しました。81年製作で、千葉真一・真田広之・秋吉久美子が主演した『冒険者カミカゼ』(監督:鷹森立一)。千葉ちゃん&真田さんの華麗なアクションが楽しめる映画です。でも私にとっては、珍作・怪作。
 
 とにかくかなり前に、今は無き「自由が丘武蔵野館」で観て爆笑しました。ストーリー的にも変な箇所が多いのですが、千葉ちゃん&真田さんのアクションも華麗すぎて変。特に、それまで不仲だった2人が初めて意気投合するシーン。その気持ちを表現するために(?)マンションの室内で、一緒に体操競技風のアクションを繰り広げます。それ自体ちょっとどうかと思うのですが、しかもこのアクション、あまりにも2人の動きがピッタリ合いすぎていて、「初めて意気投合」したようには全く見えません。
 
 そんなわけで『冒険者カミカゼ』、きちんと観直してブログに書きたいのですが、滅多に上映されないしビデオも見つからないので、果たせないでいます。
プロフィール

サイボク

Author:サイボク
60年代後半生まれの♀。
東京在住。
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