『誘うOL』

劇場公開時のタイトルは『昼下がり、濡れるOL』
2000年 日本 監督:渡邊元嗣 脚本:波路遥 出演:西藤尚、荒井まどか、林由美香、ささきまこと、十日市秀悦、山信

 5月の「OP映画祭り」で初めてご本人を拝見してビックリした渡邊元嗣監督の、旧作中古ビデオが手に入ったので、さっそく鑑賞。ジャンルとしてはピンク映画ですが、内容的には「エロ+メルヘン+ファンタジー+コメディ」といったところ。エロにメルヘンがくっ付いているあたり、さすが渡邊監督です。しかもこのメルヘンチックぶりは、かなり凄い。
 
 まず劇中のセリフにですね、「白馬の騎士」という言葉が何度も何度も何度も出てくるんですよ。ヒロインは白馬の騎士をずっと待っている、という設定なので。ちなみに彼女、大昔の女学生ではありません。現代のOLです。
 
 さらに衣装。昔から、メルヘンチックな女子が好むものとして「犬や猫などかわいい動物の模様が入った衣類」というのがありますが、その非常に強烈な例を、この映画で観ることができます。それは、ヒロインが自宅で食事するシーンで着用しているエプロン。
 このエプロン、胸あての部分がまるごと「布で作った猫の顔」になっているのです。まるごと、ですよ。生身の猫の顔より、はるかにデカいです。画面を観ていて、ヒロインの顔よりも布製の猫顔の方についつい目が行ってしまいました。メルヘンも度を超すと迫力になるんだなあ、と妙なところで感心。

 さてそのエプロンからもわかるように、ヒロインの芳美(西藤尚)は大の猫好き。というか、1年前に死んだペットの黒猫を、今でも心の支えにして生きています。
 あるとき上司の犬飼(林由美香)が芳美の仕事上のアイデアを盗み、そのうえ芳美と付き合い始めたばかりの同僚・寛(ささきまこと)を誘惑し、寝取ってしまいます。芳美は黒猫の遺影に向かって、辛い心の内を吐露。すると次の日、黒いミニドレスを着たキトンという名の不思議な女性(荒井まどか)が突然、会社に出現。キトンは芳美の仕事と恋がうまくいくよう、あの手この手で応援してくれます。はたしてキトンは何者なのか? 
 
 これ、観てない方でもだいたい想像つきますよね。キトンの正体も、芳美の仕事と恋がどうなるかも。つまりこの映画、「先が読めないからハラハラして面白い」というタイプではなく、「先が読めるからこそ安心してのんびり楽しめる」というタイプの作品なのです。いわば、明るく楽しいおとぎ話。だから細かいことにこだわるのは野暮かもしれないのですが、後半のストーリーで、ひとつ気になったことがあります。

※以下の文章では、映画の結末に触れています。

 芳美が徹夜で難しい仕事に取り組んでいるとき、キトンが寛のアパートを訪ねて協力を依頼します。「芳美に自信を与えてあげて!」と。しかし寛は芳美と気まずくなっているうえ、犬飼にもアッサリ捨てられたので、「自分に自信が無いのに、人に自信を与えることなんか出来ないよ!」と拒否。するとキトンは、ある方法で寛に自信を与えます。その結果、寛と芳美は力を合わせて仕事を成し遂げ、2人はめでたくラブラブに。そう、芳美の「白馬の騎士」は寛だったのです。
 
 という展開なのですが、このキトンが寛に自信を与えた「ある方法」というのがですね。要するに、「キトンが魔法で寛を誘惑してセックスになだれ込み、寛がキトンをヒーヒー言わせる」ということだったわけで。
 なんというか、「キトンをヒーヒー言わせた結果として芳美とラブラブに」というのが、今ひとつ納得できんのですよ、私は。結局、寛って犬飼ともキトンとも芳美ともセックスするわけで、「おいおい、白馬の騎士って誰とでもヤるんかい!」とツッコミたくなります。
 もちろんキトンとの件では、「魔法にかけられてポーっとなってしまった」という設定があるわけですが、それならもうひと捻りして、例えば「魔法によって目の前のキトンが芳美に見えたので、張り切ってヤッた」という風な流れにしてほしかったです。そうゆうの、どうですか? (って、誰に訊いてるんだか‥‥。)
プロフィール

サイボク

Author:サイボク
60年代後半生まれの♀。
東京在住。
twitter.com/saiboku_ya

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