特集上映 「脚本家 荒井晴彦」

12月6日~27日の土曜・日曜・祝日を中心に川崎市市民ミュージアムにて開催
上映会場の公式サイト→http://www.kawasaki-museum.jp/display/cinema/#A027

 もう20年くらい前でしょうか、澤井信一郎監督の『恋人たちの時刻』を観た時のこと。劇中にヒロインの持ち物として、榊原淳子の詩集『世紀末オーガズム』が登場し、その中の一編がヒロイン(河合美智子)の声で音読されたのですが、私はその詩をそれより少し前にたまたま読んでいて、しかもかなり印象に残っている詩だったので、何だかギョッとしました。
 後に読んだ澤井監督のインタビューによると、その詩の使用はシナリオの指定、つまり脚本を書いた荒井晴彦の指定だったそうです。
 
 それから長い年月が過ぎ、私が赤坂真理の小説にハマって次々に読んでいた頃、何かの雑誌に荒井氏が「赤坂真理の『ヴァイブレータ』を映画化したい」と書いていて、「へえ~」と思っていたら数年後、本当に彼の脚本で映画化されたので、観に行きました。さらに私は絲山秋子の小説にハマっていた時期もあるのですが、またもやその頃「荒井晴彦が絲山秋子の『イッツ・オンリー・トーク』を映画化しようとしている」という情報を知り、「へえ~」と思っていたら、やはり彼の脚本で映画化され(タイトルは『やわらかい生活』)、観に行きました。
 
 そんなわけで、どうやら私は詩や小説の好みが荒井氏と少し似ているようなのですが、では私が荒井氏の作品を好きなのかというと、これは微妙です。
 
 例えば『ヴァイブレータ』(監督は廣木隆一)。この映画を観た時、あるシークエンスが妙に引っかかりました。ヒロインの妄想を描いたシークエンスで、大まかな内容は原作と同じなのですが、後半の細かい部分がかなり変えられていたのです。
 もちろん小説と映画は表現方法が違うので、必要に応じて改変しなければいけないということは分かっていますが、その部分に関しては、映画全体の流れから見て絶対に原作どおりの方がいいと私は思ったので、改変には疑問を感じました。(これについては以前詳しく書いたので、興味のある方はこちらをお読みください→http://kobiri.blog108.fc2.com/blog-entry-9.html
 
 今回この記事を書くにあたって、『年鑑代表シナリオ集』に掲載されている『ヴァイブレータ』のシナリオを読んでみたところ、その気になる部分は、完成した映画ほどではないものの、原作とは確実に違っていました。つまり、廣木監督だけでなくまず荒井氏が、ここを改変するべきだと判断したわけですね。そしてやはり私は、このシナリオ全体から考えても、例の部分は原作どおりの方がいい! と思います。
 まあ私は素人なのでこの部分の改変の必要性に気づいていない、ということなのかもしれませんが。それだけではないような気がします。恐らく私と荒井氏は、同じ詩や小説に惹かれていても、それらの捉え方や解釈の仕方が違うのでしょう。

 しかし何だかんだ言っても、今日から開催される荒井氏の特集上映に並ぶ18本の作品のうち、半分以上を既に観ているのですから、私は彼の作品にけっこう注目してきたのかもしれません。ちなみに今回上映される作品の中で、既に観て面白いと思ったり感銘を受けたりしたのは、『新宿乱れ街 いくまで待って』『リボルバー』『赫い髪の女』『恋人たちの時刻』です。
プロフィール

サイボク

Author:サイボク
60年代後半生まれの♀。
東京在住。
twitter.com/saiboku_ya

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