『バット・オンリー・ラヴ』と『夢の女 ユメノヒト』

『バット・オンリー・ラヴ』
2015年  監督・脚本:佐野和宏  出演:佐野和宏、円城ひとみ、酒井あずさ、蜷川みほ、芹澤りな、柄本佑、飯島洋一 ほか

現在、上映中  公式サイト→http://www.but-only-love.com/

『夢の女 ユメノヒト』
2015年  監督:坂本礼  脚本:中野太  出演:佐野和宏、伊藤清美、和田華子、西山真来、小林節彦、川瀬陽太、吉岡睦雄、櫻井拓也、伊藤猛 ほか

現在、上映中  公式サイト→http://www.interfilm.co.jp/yumenohito/


今回、イラストはナシです。
以前、佐野和宏さん(今より少し若い頃の)を描いて載せたことがあるので

さて、佐野さんが18年ぶりに監督業に復帰し自ら主演も務め、さらに坂本礼監督の新作にも主演している‥というのは前々から聞いていたのですが、その2本が今、上映中。
先日、観てきました。

まずは、監督&主演の『バット・オンリー・ラヴ』。
ガンで声を失くした男。
過去には複数の愛人がいたりもしたが、病気をしてからは、まるで生まれ変わったかのように、妻と仲良く穏やかに暮らしている。
ところがある日、娘が自分の実の子ではないと知り‥‥。

つぎに、坂本礼監督の『夢の女 ユメノヒト』。
福島で生まれ育ち、10代で地元の精神病院に入院した男。
震災と原発事故で避難中、とっくに病気が治っていることが分かり、約40年ぶりに外の世界へ。
さらにガンで声を失った彼は、(遠い昔にお金を払ってした)初体験の相手に会いたくて、東京に向かう‥‥。

つまり、この2本の映画での佐野さんの役柄は、(ご本人の現状である)ガンで声を失ったということ以外は、きわめて対照的なのです。
『バット‥』の男は、結婚していて子どもがいて、元愛人がいて、酒と煙草が大好きで。
『夢の‥』の男は、女性にほとんど縁が無く、家庭を持ったこともなく、酒も煙草もやらない(やれない)。

この対照的な2人の男を、佐野さんは、表情と身体表現だけで見事に演じています。さすがです。
と褒めたものの、実は、『バット‥』のほうの芝居(というかご自身に対する演出)には、少し疑問を感じます。

主人公の、傷つき方。
彼は、傷ついた時や思いつめた時、声にならない声で叫んだり、延々と走り続けたり、わりと「絵になる」ことをするんですよね‥‥。

「人前では虚勢を張って、絵になることをする」のなら分かりますが、ひとりの時でも、なんだかいつも、ある程度の「カッコよさ」を保ってしまっている。
ひとりの時ぐらい、もっと無様に、みっともない感じで泣いたりしてほしい。
でないと、この主人公の辛さが今ひとつ伝わってこない。と、私は思います。

実はこのことは、昔からちょっと気になっていました。

私の佐野作品との出会いは20年ほど前で、まず、彼の監督作品のほとんどを占める「監督し出演もしている映画」を何本か観たのですが、惹かれながらも同時に、苦手意識も持ってしまいまして。
さっき書いたような、カッコつけてるというか、やや自意識過剰な感じに、どうしても違和感があって。
だからその後、監督作品はほとんど観てないです。

それに対して、出演作(ご自身で監督してないもの)は、ピンク映画を中心に、一般映画や学生の卒業制作映画など、いろいろ観てきました。
他の監督の映画に出ている時の佐野さんは、自意識みたいなものが全く感じられず、役柄の人物に没入しきっているように見えて、そういうところが本当に素晴らしいと思うのです。

今回の『夢の‥』でも、おどおどした冴えない初老の男性に完全になりきっていて、それゆえに、その冴えない男性が、とても愛おしい存在として輝いています。

ちなみにこの映画では、相手役の伊藤清美さんも素晴らしいので、2人が揃っているシーンは、すなわち名シーン。
特にクライマックスの、伊藤さんが佐野さんに延々と語りかけるラブシーン。
この長台詞の内容もすごく良くて(脚本は中野太氏)、観ていてウーッと泣いてしまいました。
あと、あのカラオケのシーンも、たまらん。

というわけで。
この文章を書いていて、自分が佐野さんの出演作ばかり追いかけ監督作をあまり観てない‥という事実に、改めて気づきました。
普段は全然、意識してなくて。

意識してないからこそ、先日、映画館のロビーで佐野さんをお見かけした時、長年のファンです~みたいなことを言って、握手していただいたのですが。
今考えると、私のような人間が握手していただくなんて、失礼なことをしてしまいました‥‥反省しております‥‥。

『ディアーディアー』

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2015年  監督:菊地 健雄  脚本:杉原 憲明  出演:中村 ゆり、斉藤 陽一郎、桐生 コウジ、山本 剛史、松本 若菜、柳 憂怜、政岡 泰志、佐藤 誓、染谷 将太 ほか
各地で上映中  公式サイト→http://www.deardeer-movie.com/index.html


数日前に新文芸坐にて鑑賞。
タイトルの『ディアーディアー』は、英語で書くと「Dear DEER」。「親愛なる鹿」。

子供の頃、幻の鹿「リョウモウシカ」を発見して一躍時の人となったものの、やがて目撃は虚偽とされ、「うそつき」のレッテルを貼られた三兄妹。
それから二十数年後。
長男の富士夫(桐生コウジ)は家業を継いだものの莫大な借金を背負い、次男の義夫(斉藤陽一郎)は精神を病んで病院暮らし、末娘の顕子(中村ゆり)は駆け落ちの果てに酒びたりの生活。
父の危篤をキッカケに、三兄妹は久しぶりに再会するのだが‥‥。

劇中で、義夫の精神疾患は「シカ事件」が原因、ということになっている。
が、三兄妹の父親はかなり暴力的な人(子供を殴る)だった‥とも語られるので、義夫の病気も顕子のアルコール依存も、まず父親に原因があったと思われる。
たぶん、そのあたりの(父の)事情も含めての「シカ」なんですね。

だから三兄妹は、死にゆく父と、「シカ事件」と、両方に改めて向き合うことになる。

この映画、まず冒頭にアニメで「シカ事件」の説明があり、その後は実写で、三兄妹の再会→父の見舞い‥と進んでいくのだが、この序盤での桐生コウジが本当に素晴らしい。
弟や妹や町の人たちなど、常に全方位に気を遣い、常に穏やかに微笑み、でも心の底に鬱屈を溜めこんでいて、いつか爆発しそうな感じ。
そういう富士夫の感じを、実にうまく表現している。

「あ、このお兄さん、いつか爆発する‥‥爆発する‥‥」って、観てていきなり緊張しましたもん。
つまり序盤でもう、ググッと入り込んだわけです。

この映画のプロデューサーでもある桐生氏、彼の存在はとても大きいと思います。
といっても、もちろん、彼の仕事だけが突出している‥という意味ではなく。
脚本、演出、他の役者さんたちの芝居など、色んな要素がかみ合って、序盤からラストまで、ずっと入り込んだまま観ることができました。

脚本といえば、こういう、わりと地味な内容をオリジナル脚本として面白く書くのって、多分すごく難しいことだと推測するのですが、まだ30代の杉原憲明氏、うまいですね。

そして監督の菊地健雄氏も30代、しかもこれがデビュー作。
といっても、これまで色んな監督のもとで助監督を務めていたせいか、あまり新人らしくなく、早くも熟練の境地というか、すでに「過不足ない」という感じ。

彼の、「過不足ある」作品も観てみたいです。
一観客の勝手な願望としては。

『タイガー・マウンテン 雪原の死闘』

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2014年  中国  監督・脚本:ツイ・ハーク  出演:チャン・ハンユー、レオン・カーフェイ、ケニー・リン、ユー・ナン、トン・リーヤー、ハンギョン
(公式サイトは、こちらです


1週間ほど前にシネマート新宿にて鑑賞。
80年代から監督やプロデューサーとして活躍し続けている香港の巨匠、ツイ・ハークが中国で撮ったアクション大作。

ハーク監督は昔から、お金も手間もかかるアクション系の大作を得意としていますが、今の香港映画界はやや衰退ぎみなので、そういう作品はなかなか作れず。
となると、今の中国に活動の場を移すのは自然なこと。

しかし。ご存知の通り、中国には検閲があり、映画の内容は色々と規制されています。
特に政府批判は絶対×で、その逆は◎。

例えば、この映画は1946年の国共内戦時代を舞台にしていますが、検閲の当然の結果として、共産党軍はかなり英雄的に描かれています。
そもそも、あらすじ自体が、「共産党軍の少数精鋭部隊が、東北地方を荒らす残虐な匪賊(ひぞく)の大軍に立ち向かう」というプロパガンダ的なもの。

ただし、そこはツイ・ハーク。
アクションとともに得意とする「ファンタジックな描写」をバンバン繰り出し、単なるプロパガンダ映画とは、ひと味もふた味も違う作品に仕上げています。
あるていど現実的な描写もあるものの、劇画的・幻想的な演出も多用しているので、なんだか架空の国の物語みたいな雰囲気もあったりして。

(この辺りのことについては、ライターの藤本洋輔氏が詳しく述べてらっしゃるので、こちらをどうぞ。他の香港映画人の中国での検閲対策についても、書かれています。)

ただ、私の個人的な思いとしては‥‥やっぱりそれでも少々プロパガンダの匂いがするので、それが残念だなあ、と。

この映画に限らず、例えば(藤本氏も言及している)ジョニー・トー監督の『ドラッグ・ウォー 毒戦』。
トー監督らしさは充分発揮されているものの、公安の描き方などが、やはり少々プロパガンダ的。

まあ、そのへんは、なるべく気にしないようにして観るしかないのかも。
もちろん、将来的に中国の検閲や言論統制が無くなる(緩くなる)ことを願いつつ。

ところで、今回は俳優でなく監督のイラストを描きました。
ツイ・ハーク監督、顔もスタイルもなかなか良いし、独特の雰囲気があって、まるで役者かシニアモデルみたい。
「徐克」(ツイ・ハークの漢字表記)で画像検索すると、いい写真がいっぱい出てきます。ファッション誌の表紙やグラビアにもけっこう登場している模様。

あと、彼は絵も上手いです。
まあホント、凄い人ですわ。

『GONIN サーガ』

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2015年  監督・脚本:石井隆  出演:東出昌大、桐谷健太、土屋アンナ、柄本佑、安藤政信、根津甚八、鶴見辰吾、佐藤浩市、竹中直人 ほか
現在、全国各地で上映中(公式サイト→http://gonin-saga.jp/


約20年前の『GONIN』の続編。前作で殺された男たちの遺族が、復讐に燃える話。

序盤は、前作の内容や人間関係の説明が多く、どうもあまりピリッとしない。
が、本筋の復讐譚が始まってからは、異様な緊迫感・緊迫感・緊迫感‥‥ラストまで。
しかも、時々ウッと泣きそうになったり呆然としたり、(いい意味で)観ていて疲れました。

まあ、石井隆監督の映画はだいたい観ていて疲れるのですが、今回は序盤がちょっと緩かった分、その後の緊迫感をより強く感じたのか、いつも以上に疲れたというか。
自分の何かを吸い取られたような気がします(これは褒め言葉です)。

ところでツイッターに、「更なる続編にはアンソニー・ウォン演じる香港マフィアも登場させて」みたいなことを書いたわけですが、この発想はどこから来たのかというと、つまり、ジョニー・トーです。

観ていて、ちょっとジョニー・トーのノワール諸作を連想したのです。
(雑誌にそういうことを書いているライターさんもいたので、同じように考えている人はけっこういると思います。)

もちろんトー作品よりもこの映画のほうが女性が前面に出ているし、その他いろいろ違うところもあるのですが、それでも何か通じるものを感じるんですよね。
激しいガン・アクションに情(あるいは情念)が宿っているあたり、かなあ。
そのうち、どこかの名画座で「石井隆&ジョニー・トー特集」やってほしい‥‥。

最後になりましたが、今回のイラストは森澤慶一(柄本佑)。
『GONINサーガ』の登場人物の中で、いちばん怖い人(だと私は思う。)
いちばん静かで動きも叫びも少ないのに、ものすごい執念を抱えているし、妙に大胆。
そういう人なので、意図的に、やや怖い感じに描きました。

オッサン俳優。

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ずっとウッスラ気になっていた『哀しき獣』(2010)を、最近やっとDVDで観たら、ミョン社長を描きたくなりました。
こういうオッサンくさい人が、描いてて一番楽しい‥‥。

キム・ユンソクは、このミョン社長を演じたとき、まだ40歳くらいだったのですが、ものすごく貫禄があってボッテリしていて、とにかくオッサンくさいのです。
そして、斧や牛骨を使って、人を殺しまくっています(もちろん役の上で)。

ちなみにユンソク氏は、「個性的な脇役」とかではなく、主演級のスター。
現在でも次々に、メジャーな映画に主要な役で出演しています。

そういや韓国の主演級スター男優には、ソン・ガンホとかチェ・ミンシクとか、オッサンくさい人がけっこういるなあ。
準主役くらいの人まで入れると、かなり多いんではなかろうか。

それに対して日本では、主演級スター男優は中年世代であっても、若々しくスラッとした、カッコいい系の人が多い。
そしてオッサンくさい中年男優は、あまり主演の機会を与えられていない。

例えば西田敏行は、「オッサンくさくて主演級」と言えるかもしれませんが、彼も今年で68歳なので、オッサンというよりジイサンに近づいています。

もう少し若い、40代~50代でオッサンくさくてメジャーといえば、ピエール瀧がいますが、彼の場合、まだまだ主演は少ない。
彼のような人が、もう少し主演できるようになれば、面白い作品が増えると思うんですけど。

結局、今の日本映画で、オッサンがわりとメインのものを観ようとすると、単館系とかピンクとか、メジャー以外の作品になります。

そういや先日、ピンク映画関連のトークショーで、サーモン鮭山さんと世志男さんが、ユニットを結成する予定だと言ってました。
(ちなみにお2人とも、かなりオッサンくさくて、変態的な役の多い男優さんです。)

で、そのとき司会の方が、「気持ち悪いユニットですね~」とコメントしていて、全くその通りなんだけど(失礼)、だからこそ面白そうだし、期待してます!

お2人とも、俳優だけでなく監督もやっているので、お2人が主演のシリーズものを撮るとか、あるいは、サーモンさんが監督して世志男さんが主演するとか(もちろんその逆もアリ)、どうでしょう?

『さらば愛しき大地』

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1982年  監督・脚本:柳町光男  出演:根津甚八、秋吉久美子、矢吹二朗、山口美也子、奥村公延、佐々木すみ江、蟹江敬三 ほか
※9月2日にDVDが再発売される予定→http://www.dig-mov.com/


この映画のDVD、廃版になっていたのが、9月のはじめに再発売されるとのこと。
そして根津甚八さん。すでに引退されていますが、9月末公開の『GONIN サーガ』でスクリーンに復帰。1作限りの復帰だそうですが、やはり嬉しい。

というわけで、『さらば愛しき大地』。

茨城の田舎町に住み、ダンプの運転手として働く幸雄。
ある日、彼の2人の息子が、沼で溺死してしまう。
もともと粗暴だった幸雄はさらに荒れ、両親や妻のいる家を捨て、別の女性と暮らしはじめる。
新しい家庭での幸福を夢見る幸雄だったが、不況による仕事の減少など悩みは尽きず、覚醒剤を常用するようになり‥‥。

今から33年前の映画なのですが、古い感じはしません。
もちろん、登場人物たちの歌う歌や服装・髪型などは古いのですが、芯の部分は、今に通じる要素が多いのではないかと。

実際、(これは既に色んな方が指摘しているとは思いますが)、この映画と、比較的最近に作られた『サウダーヂ』(2011)は、共鳴し合っているような気がします。

東京に近い地方の田舎町、肉体労働者たち、不況による仕事の減少、家族との不和‥‥。
共通点が色々あります。他にも、町の酒場で東南アジアから来た女性たちが働いていることなど。
そして、主人公が最後に取った行動も。

ただし、主人公が刃物を向ける相手が、かなり違う。
この違いが時代の違いなのかな、と思ったり。

『さらば愛しき大地』と『サウダーヂ』、どこかで一緒に上映してください。(これまた既に実現しているのかもしれませんが)。

『乃梨子の場合』

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2014年  監督:坂本礼  脚本:尾上史高  出演:西山真来、吉岡睦雄、和田光沙、伊藤清美、川瀬陽太 ほか
公式サイト→http://www.interfilm.co.jp/noriko/
◆東京のポレポレ東中野にて上映中(4月24日まで)、名古屋のシネマスコーレにて上映予定(4月28日~5月1日)
【追加:大阪の第七藝術劇場での上映も決定(6月6日~12日)。今後も上映館が増える可能性あり】


諸事情により2回、観に行きました。
2回目の上映後には佐野和宏さんらを招いてのトークイベントがあり、せっかくの機会だから昔から好きな佐野さんに何か一言‥‥と思いつつ結局、何も言えず帰ってきてしまい、激しく後悔しております。

まあ、それはそれとして‥‥『乃梨子の場合』。
監督の坂本礼さんといえば、彼のピンク映画を何本か観たことがあるのですが、その中で最も印象深いのが、『18才 下着の中のうずき』。
少女たちの話でありながら、川瀬陽太さん演じる青年がとても繊細に描かれていて、むしろ青年の方が作品の軸になっていたような。

そしてこの『乃梨子の場合』も、女の話でありながら、彼女をとりまく2人の男が、グイッと前に出てきている感じ。

もちろん、基本的には「女の話」として、ちゃんと成立しています。
その部分は、先日ツイッターに書いたとおり。

【『乃梨子の場合』観た。経済的な理由で売春(援助交際)を始める主婦・乃梨子。スーパーのパートだけでは、やっていけなくなったのだ。そのスーパーではいつも店の宣伝ソング(?)が流れている。空虚でシシンプルで覚えやすい歌。そんな歌が生活の一部になっている女の話。胸につーんと来た。】

そして、「2人の男」。まず乃梨子の夫。
なんというか‥‥半分あの世に行っているかのような、不思議で不気味な男。
この男を、川瀬陽太さんが、「いかにも」の不気味な表情など一切見せず、穏やかに優しげに演じています。さすがです。

さらに、乃梨子の援助交際の相手、戸高。
自分に全く好意を持っていない人妻に、入れあげる男。
彼の無邪気さ、一途さ、愚かさ、哀しさを、吉岡睦雄さんが見事に表現しています。

本当に吉岡さん、素晴らしい。
彼の出演作は昔からいろいろ観ていて、いい役者さんだとは思っていましたが、今回改めて、彼の実力と魅力を突き付けられた感じです。

というわけで今回のイラストは、吉岡さんを描いてみました。
いろんな表情を持っている方ですが、彼の艶っぽい部分を描いたつもりです。

『クリミナル・アフェア 魔警』

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2014年  中国・香港  監督:ダンテ・ラム  脚本:ジャック・ン、ダンテ・ラム  出演:ダニエル・ウー、ニック・チョン、アンディ・オン、リウ・カイチー、クリスティ・チェン ほか
公式サイト→http://cmaf-makei.jp/
◆シネマート六本木、シネマート心斎橋にて上映中【心斎橋は2月27日(金)まで】
◆シネマスコーレ(名古屋)にて近日上映予定


1週間ほど前に、シネマート六本木にて鑑賞。
2006年に香港で起きた、警官が警官を殺害するという衝撃的な事件をヒントにして制作された映画。
ただし、この実際の事件は解明されていない部分が多いため、いわゆる実録映画ではなく、あくまでも、事件をヒントにして創作されたフィクションです。

ストーリーは‥‥孤独な警官デイブ・ウォン(ダニエル・ウー)が、武装強盗団のホン(ニック・チョン)に出会ってから情緒不安定になり、やがてそれが狂気にまで発展してしまい‥‥というもの。
実はデイブには幼少期の複雑なトラウマがあり、ホンとの出会いによって、そのトラウマがデイブを蝕むようになるのです。

非常に悲しく、やるせないストーリーなのですが、作品自体は、いわゆる「暗く地味な映画」ではありません。
というのも、アクションや爆破シーンがけっこう派手だし、主人公の心理がこれまた派手な視覚効果で表現されていたりするし。
ストーリー的にも色んな細かい要素が仕込んであって、グイグイ引っ張られます。

(まあダンテ・ラムの映画はいつも、色んな要素がギュウギュウ詰め込まれていて、「ちょっと詰め込み過ぎでは‥」と思わなくもないのですが、面白いからオッケーです。)

そして、映画自体が地味になってないもうひとつの原因は、主演のダニエル・ウーでしょう。

彼は、目が大きくハッキリした顔立ちで、背が高くてスタイルも良く。
もともとの容姿や雰囲気が、かなり華やかなんですね。
だから、暗く孤独な役をきっちり演じていても、どこかフワッとした華やかさが漂っている。
そしてそれが、映画自体の印象にも影響している。

というわけで今回は、ダニエル・ウーさんのイラストを描いてみました。

『新しき世界』

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2013年  韓国  監督・脚本:パク・フンジョン  出演:イ・ジョンジェ、ファン・ジョンミン、チェ・ミンシク、パク・ソンウン、ソン・ジヒョ ほか 
(今年前半に公開済、DVD出てます)

今年の2月に観てとても好きになった作品なので、もっと早く取り上げるべきだったのですが、どうにもイラストがうまく描けず、長いあいだ放置していました。
で、久しぶりにファン・ジョンミンを描いてみたら、相変わらず難しく、あまり良くできたとは言えないものの、サルっぽくて愛嬌のある感じはどうにか出せたと思うので、載せることに。

このジョンミン氏、決して美形ではないけれどブサイクでもなく、なんというか、親しみやすい庶民的な顔。
しかし、スラリとした長身でスタイルは良いので、そういう意味では、なかなかカッコイイ。いつか彼の全身像も描いてみたいです。

ちなみに彼、ミュージカルでも活躍しているらしいので、YOUTUBEでいろいろ動画を観てみたところ、歌も踊りもすごく上手い。
さらに、この『新しき世界』を含む何本かの映画から察するに、ものすごーく芝居も上手い。
もう、才能の塊みたいな人ですな。

あ、ジョンミン氏のことばっかり書いてしもた‥‥。
作品自体についても、少しだけ。

警官がヤクザ組織に潜入する、いわゆる潜入捜査モノのノワール映画。
非情な世界を描きつつも、最終的には強烈な「情」が表現されている。
そしてその「情」で結ばれる2人が、ともに韓国華僑であるという設定(私はこの映画によって、それまであまり知らなかった韓国華僑について、知ることができました)。
それからそれから、ジョンミンだけでなく、他の役者さんたちも皆、素晴らしかった。

この映画の監督・脚本を担当したパク・フンジョンは、以前ここで取り上げた『生き残るための3つの取引』の脚本を書いた人。
『生き残る~』もこの『新しき世界』も非常に惹かれるものがあるので、彼には今後、注目したいと思います。

『実録外伝 大阪電撃作戦』

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1976年  監督:中島貞夫  脚本:高田宏治  出演:松方弘樹、渡瀬恒彦、梅宮辰夫、小林旭、丹波哲郎、成田三樹夫、織本順吉、室田日出男、川谷拓三、石橋蓮司、小松方正、伊吹吾郎、成瀬正、郷鍈治、曽根晴美、志賀勝、名和宏、三上寛、中原早苗、片桐夕子 ほか

しばらく前に、新文芸坐の「中島貞夫映画祭」にて鑑賞。
いわゆる東映実録路線の1本で、実在の抗争事件(明友会事件)を題材に、大組織に牙をむく狂犬のようなチンピラたちを描いています。

とにかくキャストが豪華で、オープニング・クレジットに並ぶ名前を見ただけで、もうお腹いっぱいになりそうな感じ。
そしてファースト・シーンで、いきなり大勢の男優が登場して暴れ回り、これでもか、これでもかと東映的な「イイ顔」が映し出され、その状態が延々と続きます。
そんな映画。

で、さきほど「暴れ回り」と書きましたが、厳密に言うと、全員が暴れているわけではありません。
周りがドタバタしている中、常に冷静でニヒルな男もいます。それは、成田三樹夫。
そんなわけで、今回は成田氏を描いてみました。
(てゆうか、前から一度描いてみたかったという、それだけなんですけどね。)

今回、成田氏の顔を改めて観察して気づいたんですが、彼、もともとの顔立ちは、わりと端整な二枚目なんですね。
その端整な顔の、特に目元や口元をグイッと歪ませると、あの独特な髪形も相まって、「アクの強い個性派」に見える。
またこの映画での彼は、目の上に青黒いアイシャドーを塗っています(たぶん)。

これは成田氏に限ったことではなく、ヤクザ役をよく演じている俳優さんたちは、表情・髪型・メイクなどで、「クセのある怖い顔」を作り上げている場合が多いんじゃないかと。

もちろん中には、もともと怖い顔の方もいるのでしょうが、たいていの方は、表情筋を鍛えて顔を歪ませたり、眉毛をいじったり、何かを塗ったり、奇抜な髪形を研究したり‥‥。
努力と工夫が大事ですよね、なにごとも。
プロフィール

サイボク

Author:サイボク
60年代後半生まれの♀。
東京在住。
twitter.com/saiboku_ya

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